憲法の力を信じて。

この活動について

■ はじめに

 本サイト「hikari99.jp」は、憲法に基づく人権と、その制度の正義を守るために立ち上げられた記録と発信の場です。特に、日本国憲法第99条、すなわち、裁判官、国会・地方議会議員、国家・地方公務員を含むすべての権力の担い手に課された「憲法尊重擁護義務」を根幹に据え、その義務がいかに空洞化されているかを、具体的な事例と法的論拠によって示します。

 その具体的な事例とは、福島県須賀川市で実際に発生したものであり、これら一連の公的手続の中で、明白な違憲違法状態が放置(違憲違法状態を是正しない不作為)され、制度的な人権侵害が常態化したことに対し、記録・検証・反証・是正へむけた行動を記すものです。それは、単なる個人の冤罪の訴えにとどまるものではなく、「国家権力のあるべき姿」を問い直す、根源的な問いかけでもあります。

■ 活動の背景と問題意識

 2011年9月、私は須賀川市議会議員として選挙によって市民から選ばれました。ところが、初当選からわずか1ヶ月後の10月、ある交通事故により逮捕され、その直後から、刑事手続が終了しておらず、無罪推定が及ぶべき段階にもかかわらず、須賀川市議会は私に対して、繰り返し辞職勧告決議を可決しました。

 これは、政治的意思表示の名を借りた、実質的な断罪・追放の制度運用であり、以下の点において重大な問題を含んでいます。

 ・憲法31条(適正手続)に反し、「弁明・防御の機会」なく議会による制裁的決議が可決されたこと。
 ・憲法13条(人格権)に反し、裁判前から社会的名誉を毀損し、精神的圧力をかけたこと。
 ・憲法99条に違反し、地方議会が自らの義務である憲法尊重擁護の責務を放棄したこと。
 ・国際人権規約(ICCPR)第14条2項、刑事訴訟法第336条にも反し、推定無罪の原則を制度的に破壊したこと。

 こうして、司法判断が下される前の段階で、すでに「有罪前提の社会的制裁」が制度的に行われ、その空気が公判や判決にまで影響を与えたことは、司法・行政・議会という三権すべてが絡んだ、構造的な違憲侵害の実態を示しています。
 しかも、このような違憲構造に対し、弁護士は有効な抗議も実質的防御も行わず、検察は制度の不当性を看過したまま起訴に踏み切り、裁判所は議会や報道による影響を是正することなく判決を下しました。

 この「違憲状態を是正しなかったという不作為」そのものが、憲法第32条(裁判を受ける権利)および第37条(刑事被告人の権利)に対する、制度的・累積的な侵害に他なりません。
 また、この事件は、単なる「一議員への不当な処遇」ではありません。それは、有権者が投じた票によって形成された民意を、制度的手段によって抑圧・無効化する仕組みが存在したことの証左でもあります。このように、私が議員としての職責を果たす機会を制度的に奪われたことは、単なる個人の不利益ではなく、「法の支配」「立憲主義」「民主主義」の各原則がいずれも同時に侵害されたことを意味します。

 ・ 法の支配の観点では、議会が憲法と法を超えて「裁判前の断罪」を行ったことで、権力が法に従うという基本原則が踏みにじられました。
 ・ 立憲主義の観点では、憲法第99条に反し、憲法尊重擁護義務を負う地方議会がその義務を果たすどころか、逆に憲法秩序を破壊する主体となりました。
 ・ 民主主義の観点では、選挙で選ばれた議員の地位が、裁判所による判断もないまま、議会内部の多数派によって事実上無効化され、有権者の主権が奪われました。

 これらの原則はいずれも、日本国憲法の前文・本文を通じて反復して強調されているものであり、このような三原則の同時侵害が発生したこと自体、日本の憲政史上きわめて異常な出来事であると断言せざるを得ません。

 そしてこれは、私だけに起こった特別なことではありません。権力の都合や制度の慣習が優先されれば、誰もが、いつ、どこで、同じように「手続なき断罪」の対象となる可能性があるのです。つまり、

これは、あなたにも起こりうることです。

 したがって、本サイトの目的は、個人の名誉回復だけではなく、主権者である国民の権利保障、民主制の自己回復能力の再建にあります。

■ 制度に見捨てられた者として、なぜ私が動くのか

 私は、これまで13年以上にわたって、違憲状態を正すために、ほぼ一人で歩み続けてきました。救済を求めて、何人もの弁護士と相談し、最終的には日本弁護士連合会(日弁連)にも人権救済と冤罪支援を申請しましたが、残念ながら支援を受けるには至りませんでした。政治的な話にはかかわりたくないのでしょうか。

 そのとき私は強く思いました。「この国では、制度に背を向けられた者が、自ら法を学ばなければ、憲法も権利も機能しないのか」と。

 だからこそ私は、証拠を一つひとつ整理し、事実関係を洗い直し、憲法・刑事訴訟法・行政法・地方自治法・国際人権法などを学びながら、自分の事件を法的に分析し続けてきました。

 仮に、ある人物が選挙で当選したとして、その人物の当選を快く思わない権力者や組織がいた場合、何が起きるでしょうか。

 その人物に対して、なにか容疑をかけて逮捕し、まだ裁判も始まっておらず、有罪・無罪も決まっていない段階で、議会が「政治的意思表示」の名のもとに辞職勧告決議を繰り返し可決し、さらにそれをマスコミが大々的に報道し、「有罪であるかのように」社会的に断罪する。
 こうして本人が、裁判所から一度たりとも「有罪」と判断されていないにもかかわらず、精神的・制度的に追い詰められ、辞職に至るまで圧力をかけ続けられる。それは、「無罪と推定される権利」(国際人権規約14条・刑事訴訟法第336条)そのものが、制度的に破壊されることを意味します。
 このような構造が一度形成されれば、どれほど民意に基づいて選ばれた者であっても、司法判断を経ずに排除される社会ができあがってしまいます。そして、実際にそれが行われたのが、まさに本件なのです。
 これは、単なる一事件の異常ではありません。それは、法の支配を踏みにじり、立憲主義を否定し、民主主義の根幹である「選挙による政治的正当性」を奪う、この国の憲政原則に対する明白な裏切りです。

 私は、この制度の暴走を食い止める手段がどこにも存在しなかったという現実と、無罪であるべき時期に社会的・制度的に「断罪」され、その過程で有権者の投票も、私の人権も、すべて踏みにじられたという事実を、身をもって証明することになってしまったのです。


■ 事件に「巻き込まれた」現実と、司法へのアクセスの困難さ

 多くの人は、自らが刑事事件や重大な法的紛争の当事者になることなど、人生で一度も想像したことがないかもしれません。しかし現実には、そうした「非日常」はある日突然、誰にでも降りかかります。そしてそのとき私たちは、「制度があるのだから、公正に裁かれるはずだ」と、どこかで信じている自分に気づきます。

 私も、そうでした。飲酒運転などしていないと確信していた私は、弁護士の助言も受けずに一人で警察の任意同行に応じました。説明すれば理解されるだろうと信じていたからです。しかし、須賀川警察署で私は突然逮捕され、そこから「制度の現実」を身をもって知ることになります。

 逮捕直後、最も脆弱で、最も助けが必要なその瞬間に、私には弁護人を自ら選任する術すらありませんでした。接見禁止、勾留、精神的に不安定な状態での取調べ。密室の中で、自分の言葉はほとんど聞き入れられず、誘導されるままに調書へ署名・押印をさせられる。
 後に知ったことですが、この時期こそが、「憲法上の保障の出発点を成す」(最高裁平成12年6月13日判決)、極めて重大な局面だったのです。

 制度は、何も教えてくれませんでした。私はようやく気づきました。勾留された被疑者にとって、「自分の状況を正確に理解し、信頼できる弁護士を自ら選ぶ」ことなど、制度上は保障されていても、現実にはほぼ不可能なのだということを。

 情報も支援も遮断され、「誰を選ぶか」どころか、「何が起きているのか」さえ把握できない。与えられるのは、弁護士会の当番制度によって割り当てられた弁護士との接見です。しかし、その弁護士がどれほど刑事弁護に通じているのか、依頼すべきかどうかすら、当事者には判断できません。
 一方で、警察・検察は、24時間365日、刑事事件を専門に扱う機関です。彼らは組織的に知識と経験を蓄積し、取調技法の訓練を受けています。それに対し、日本には「刑事事件専門」と胸を張って言える弁護士はごくわずかであり、刑事訴訟は事実上、制度のプロと素人という非対称な構図の中で進行するのです。

 私は、言われるがまま取調べを受け、署名押印をさせられました。そして、自分で法を学ぶ中で、そうした取り調べのあり方が、法の理念から大きく逸脱していたことを知りました。
 だからこそ思います。制度の不備を前に、専門家が動かないのであれば、当事者自身が動かざるを得ない。この社会の一員として、誰かがこの歪みに声を上げなければ、制度は永遠に変わらないのだと。


■ 「今さら」ではなく「今こそ」

 私の活動に対して、こう問う人がいます。「なぜ今さら?」と。私は、こう答えます。

「違憲状態が正されていない限り、それは『今も続いている問題』であり、遅すぎるということは決してない。」

 この国の憲法は、時効があるから守らない、という性質のものではありません。権力が過ちを犯したとき、それが是正されないまま制度に埋もれていれば、それは未来の誰かに同じ被害をもたらす「構造」として残るのです。

 だから私は、「今さら」ではなく、「今こそ」声を上げるのです。

■ このサイトが目指すこと

 本サイトは、こうした違憲構造を記録し、その違憲性を法的根拠と事実によって明らかにするとともに、次の4つの目的を掲げています。

 記録する:事件の経過と議会の動き、裁判資料、提出書面などをアーカイブし、誰でも検証できる状態にする。
 立証する:憲法・刑事訴訟法・地方自治法・国際人権条約等に基づき、制度的な違憲性を論理的に証明する。
 伝える:報道、SNS、政党・行政機関などへの申入れ文書等を公開し、市民の知る権利に応える。
 照らす:同様の構造的不正や人権侵害に直面する人々へ、「光」となる知識と勇気を共有する。

■ 憲法第99条を「光」とする理由

 日本国憲法第99条は、一般市民に対してではなく、国家権力を担う者―すなわち、国会議員、裁判官、公務員などに対して課された「憲法を尊重し擁護する義務」です。つまり、憲法を守る主体は市民ではなく、権力を行使する側にこそあるのです。この条文には、近代立憲主義の核心があります。

 「守られる側の憲法」から、「守らせるための憲法」へ。
 「人権を奪われた市民の声」から、「義務を果たさぬ権力への是正要求」へ。
 「個人の被害」から、「国家の制度責任」への問い直しへ。

 私たちが目指すのは、誰かに与えられる人権ではなく、奪われたときに権力を是正する力を持つ主権者としての市民です。本サイト名「hikari99.jp」は、まさにこの第99条から、「光」が射すという理念を体現しています。人権の光を曇らせたのが権力であるならば、その義務違反をただすことこそが、社会の再生につながると私は信じています。

■ 終わりに

 私のこれまでの歩みは孤独でもあり、時には絶望的に思えることもありましたが、それでも諦めることはありませんでした。

 なぜなら、これは自分だけの名誉回復のためではなく、法の支配人権尊重を真に機能させる社会を取り戻すための闘いだからです。第二次世界大戦という人類史における最大級の悲劇を経験した先達が、その痛切な反省のもとに築いたこの日本国憲法が予定した人権保障を、本当に機能させるためには、我々一人ひとりが不断の努力によって(憲法第12条)守り続けなければなりません。
 このサイトは、その一つの試みです。どうか、ここに刻まれた記録と問いかけが、あなた自身の目と心で確かめられることを願っています。

 このサイトが、同じように理不尽な制度の前で声を失いかけた誰かにとって、「光」になれればと願っています。あなたは独りではありません。日本国憲法の光があなたに射し、あなたを照らしてくれます。

 以下に、日本国憲法を掲載しておきます。どれほど素晴らしいものか、もう一度味わってみて下さい。

2025年6月3日
「hikari99.jp」責任者 圓谷 年雄(ツムラヤ トシオ)

『日本国憲法』

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第一章 天皇

〔天皇の地位と主権在民〕
 第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
〔皇位の世襲〕
 第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
〔内閣の助言と承認及び責任〕
 第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
〔天皇の権能と権能行使の委任〕
 第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
   2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
〔摂政〕
 第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
〔天皇の任命行為〕
 第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
   2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
〔天皇の国事行為〕
 第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
   一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
   二 国会を召集すること。
   三 衆議院を解散すること。
   四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
   五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
   六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
   七 栄典を授与すること。
   八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
   九 外国の大使及び公使を接受すること。
   十 儀式を行ふこと。
〔財産授受の制限〕
 第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

第二章 戦争の放棄

〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
   2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第三章 国民の権利及び義務

〔国民たる要件〕
 第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
〔基本的人権〕
 第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
 第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
〔個人の尊重と公共の福祉〕
 第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
 第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
    2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
    3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障〕
 第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
    2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
    3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
    4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
〔請願権〕
 第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
〔公務員の不法行為による損害の賠償〕
 第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
〔奴隷的拘束及び苦役の禁止〕
 第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
〔思想及び良心の自由〕
 第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
〔信教の自由〕
 第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
    2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
    3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕
 第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
    2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
 第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
    2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
〔学問の自由〕
  第二十三条 学問の自由は、これを保障する。
〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕
  第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
      2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
 第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
     2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕
 第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
     2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
〔勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止〕
 第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
     2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
     3 児童は、これを酷使してはならない。
〔勤労者の団結権及び団体行動権〕
 第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
〔財産権〕
 第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
     2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
     3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
〔納税の義務〕
 第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
〔生命及び自由の保障と科刑の制約〕
 第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
〔裁判を受ける権利〕
 第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
〔逮捕の制約〕
 第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
〔抑留及び拘禁の制約〕
 第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
〔侵入、捜索及び押収の制約〕
 第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
     2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
〔拷問及び残虐な刑罰の禁止〕
 第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
〔刑事被告人の権利〕
 第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
     2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
     3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
〔自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界〕
 第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
     2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
     3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
〔遡及処罰、二重処罰等の禁止〕
 第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
〔刑事補償〕
 第四十条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

第四章 国会

〔国会の地位〕
 第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
〔二院制〕
 第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
〔両議院の組織〕
 第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
     2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
〔議員及び選挙人の資格〕
 第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
〔衆議院議員の任期〕
 第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
〔参議院議員の任期〕
 第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
〔議員の選挙〕
 第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
〔両議院議員相互兼職の禁止〕
 第四十八条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
〔議員の歳費〕
 第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
〔議員の不逮捕特権〕
 第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
〔議員の発言表決の無答責〕
 第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
〔常会〕
 第五十二条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。
〔臨時会〕
 第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
〔総選挙、特別会及び緊急集会〕
 第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
     2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
     3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
〔資格争訟〕
 第五十五条 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
〔議事の定足数と過半数議決〕
 第五十六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
     2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
〔会議の公開と会議録〕
 第五十七条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
     2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
     3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
〔役員の選任及び議院の自律権〕
 第五十八条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
     2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
〔法律の成立〕
 第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
     2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
     3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
     4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
〔衆議院の予算先議権及び予算の議決〕
 第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
    2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
〔条約締結の承認〕
 第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
〔議院の国政調査権〕
 第六十二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
〔国務大臣の出席〕
 第六十三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
〔弾劾裁判所〕
 第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
     2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

第五章 内閣

〔行政権の帰属〕
 第六十五条 行政権は、内閣に属する。
〔内閣の組織と責任〕
 第六十六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
     2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
     3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
〔内閣総理大臣の指名〕
 第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
     2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
〔国務大臣の任免〕
 第六十八条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
     2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
〔不信任決議と解散又は総辞職〕
 第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
〔内閣総理大臣の欠缺又は総選挙施行による総辞職〕
 第七十条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
〔総辞職後の職務続行〕
 第七十一条 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
〔内閣総理大臣の職務権限〕
 第七十二条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
〔内閣の職務権限〕
 第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
     一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
     二 外交関係を処理すること。
     三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
     四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
     五 予算を作成して国会に提出すること。
     六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
     七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
〔法律及び政令への署名と連署〕
 第七十四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
〔国務大臣訴追の制約〕
 第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

第六章 司法

〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕
 第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
     2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
     3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
〔最高裁判所の規則制定権〕
 第七十七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
     2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
     3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
〔裁判官の身分の保障〕
 第七十八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。
〔最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査〕
 第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
     2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
     3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
     4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
     5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
     6 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
〔下級裁判所の裁判官〕
 第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
    2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
〔最高裁判所の法令審査権〕
 第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
〔対審及び判決の公開〕
 第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
     2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

第七章 財政

〔財政処理の要件〕
 第八十三条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
〔課税の要件〕
 第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
〔国費支出及び債務負担の要件〕
 第八十五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
〔予算の作成〕
 第八十六条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
〔予備費〕
 第八十七条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
     2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
〔皇室財産及び皇室費用〕
 第八十八条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
〔公の財産の用途制限〕
 第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
〔会計検査〕
 第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
    2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
〔財政状況の報告〕
 第九十一条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

第八章 地方自治

〔地方自治の本旨の確保〕
 第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
〔地方公共団体の機関〕
 第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
     2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
〔地方公共団体の権能〕
 第九十四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
〔一の地方公共団体のみに適用される特別法〕
 第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

第九章 改正

〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕
 第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
     2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

第十章 最高法規

〔基本的人権の由来特質〕
 第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
〔憲法の最高性と条約及び国際法規の遵守〕
 第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
     2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
〔憲法尊重擁護の義務〕
 第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

第十一章 補則

〔施行期日と施行前の準備行為〕
 第百条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
   2 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するたに必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
〔参議院成立前の国会〕
 第百一条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。
〔参議院議員の任期の経過的特例〕
 第百二条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
〔公務員の地位に関する経過規定〕
 第百三条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。