資料の概要
資料名:
須賀川市発議書群 2025年4月19日に実施された法律相談の結果報告及び申入書に対する回答
発議書、会議等結果報告書、申入書について(回答)
文書管理番号:
591988
作成日:
2025年(令和7年)4月23日
※法律相談の実施日は2025年4月19日。市長決裁日は同月24日。回答の施行日は同月28日。
作成主体:
須賀川市市民協働推進部市民協働推進課
※法律相談は、須賀川市議会事務局と合同で実施された。
取得経路:
須賀川市に対する情報公開請求により取得
資料の種類:
須賀川市の内部決裁文書、法律相談結果報告書、決裁状況を示す起案用紙及び申入書に対する回答案
掲載形式:
個人情報等を必要な範囲で非公開処理したPDF
原文PDF
Skip to PDF contentこの資料で確認できる事実
本資料からは、次の経過を確認することができる。
2025年4月3日、須賀川市は、「貴市における憲法違反及び人権侵害の是正に関する申入れ」と題する申入書を受領した。
須賀川市は、この申入れについて法的な確認が必要であると判断し、同月19日、市議会事務局と合同で法律相談を実施した。
法律相談は、2025年4月19日午後5時50分から午後6時40分まで、須賀川市役所1階の社会福祉協議会事務室で行われた。市側からは市民協働推進課長及び担当者が、市議会事務局側からは議会事務局長、次長及び議事調査係長が出席した。
相談の対象には、市に対する申入書のほか、市議会に提出された陳情書も含まれていた。陳情書は、2011年度に可決された議員辞職勧告決議について、憲法上の問題を検証し、是正措置を求める内容であった。
市の内部文書には、法律相談の結果として、市側については、申入内容に基づく各種対応を行わない方針が記録されている。
その後、2025年4月23日に回答案が起案され、同月24日に市長決裁を経た上で、同月28日に回答が施行された。
回答文には、2025年4月3日付の申入れについて、「市として適正に処理したものと考えております」と記載されている。
重要な記載
本資料のうち、特に重要な記載は、次のとおりである。
1 法律相談を実施した理由
市の内部文書には、法律相談を実施した経緯として、次のように記載されている。
4月3日付けで、申入れがあった件について、法的な確認が必要なことから、法律相談を行った。市と同様の件で議会へも陳情があり、議会でも辞職勧告決議の内容が中心であることから、議会事務局の相談後、市側としての相談を行った。
2 市側の今後の対応方針
市の内部文書には、今後の対応方針案として、次のように記載されている。
法的に対応義務がないことを確認したことから、申入内容に基づく各種対応はしないこととしたい。
3 辞職勧告決議に関する記載
市の内部文書には、市議会事務局側に関する相談結果として、次のように記載されている。
辞職勧告決議は法的拘束力がないことから、本人が不在でも手続の違法性はない。
また、今後の懸念材料として、次の記載がある。
法的には問題はないが、「一事不再理」の観点であると、4回の辞職勧告決議はやり過ぎの感が否めない。
4 須賀川市の最終回答
2025年4月28日付の回答文には、次のように記載されている。
令和7年4月3日付けで提出のありました申入れについては、市として適正に処理したものと考えておりますので御理解願います。
なお、本資料に含まれる「法律相談結果」は、市職員が相談内容を整理した内部報告書である。弁護士が作成した意見書又は相談時の逐語録ではない。そのため、本ページでは、相談者の発言そのものとしてではなく、市の内部文書に記録された内容として引用する。
この資料から生じる疑問
本資料を読むと、いくつかの疑問が生じる。
1 何を検討した上で、「適正に処理した」と判断したのか
須賀川市は、2025年4月3日付の申入れを受け、市議会事務局と合同で法律相談を行っている。
しかし、2025年4月28日付の回答には、どの事実を確認し、どの法令を検討し、いかなる理由によって「市として適正に処理した」と判断したのかが記載されていない。
申入れでは、単に辞職勧告決議の法的拘束力だけが問題とされていたのではない。
判決前に公的機関が有罪を前提とする評価を行ったこと、本人が勾留中で弁明の機会がなかったこと、辞職勧告決議が繰り返されたことなどが問題として示されていた。
それにもかかわらず、市の回答は、これらの論点に具体的に答えていない。
2 法的拘束力がないことだけで、問題は解消するのか
内部文書には、辞職勧告決議について、「法的拘束力がないことから、本人が不在でも手続の違法性はない」とする趣旨の記載がある。
しかし、法的拘束力がないことと、人権侵害が生じないことは、同じではない。
議会という公的機関が、刑事裁判の判決前に、本人に不利益な評価を公に示した場合、その行為が無罪推定の原則や適正手続との関係で問題とならないのかは、別途検討されるべきである。
3 4回の辞職勧告決議を、どのように評価したのか
内部文書には、次の記載がある。
法的には問題はないが、「一事不再理」の観点であると、4回の辞職勧告決議はやり過ぎの感が否めない。
この記載は、少なくとも、4回にわたる辞職勧告決議が通常の対応として当然のものであったわけではないことを示している。
それにもかかわらず、最終回答では、この点について何ら説明されていない。
須賀川市は、4回にわたる決議をどのように評価したのか。
また、「やり過ぎの感が否めない」と認識しながら、なぜ是正措置を講じなかったのか。
4 市議会事務局と合同で法律相談を行った理由は何か
本資料によれば、須賀川市は、市議会事務局と合同で法律相談を行っている。
市に対する申入れと、市議会に対する陳情は、それぞれ異なる機関に対して提出されたものである。
それにもかかわらず、両者が合同で法律相談を行った理由は何か。
また、市と市議会事務局は、それぞれ独立して事実関係及び法的問題を検討したのか。
5 「対応義務がない」という判断は、何を意味するのか
内部文書には、次の記載がある。
法的に対応義務がないことを確認したことから、申入内容に基づく各種対応はしないこととしたい。
しかし、申入れで問われていたのは、単なる回答義務の有無ではない。
過去の対応に人権侵害があったのか。
人権侵害があった場合、現在の市はこれを是正する必要があるのか。
少なくとも、この二つは分けて検討されるべき問題である。
本資料からは、これらの問題について、どのような法的検討が行われたのかを確認することができない。
関連法規・条約・国際法上の基準
国内法
日本国憲法第13条: 個人の尊重及び人格的利益との関係が問題となる。
日本国憲法第31条: 本人に弁明の機会を十分に与えないまま、公的機関が不利益な評価を行ったことと、適正手続との関係が問題となる。
日本国憲法第98条第2項: 日本国が締結した条約及び確立された国際法規を誠実に遵守する義務との関係が問題となる。
日本国憲法第99条: 市長、市議会議員その他の公務員が負う憲法尊重擁護義務との関係が問題となる。
国際人権条約(ICCPR)
市民的及び政治的権利に関する国際規約第14条第2項: 刑事裁判の判決前に、公的機関が有罪を前提とする評価を示したことと、無罪推定の原則との関係が問題となる。
市民的及び政治的権利に関する国際規約第2条第3項: 人権侵害の是正を求める申入れを受けた後の対応と、実効的救済を確保する義務との関係が問題となる。
条約の履行及び解釈に関する基準
条約法に関するウィーン条約(VCLT)第26条: 効力を有する条約を誠実に履行する義務との関係が問題となる。
条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条: 国内法上の権限、手続又は制度を理由として、条約上の義務を履行しないことが許されるのかが問題となる。
自由権規約委員会一般的意見第32号30項: 公的機関が、刑事裁判の結果を先取りする形で被告人の有罪を表明してはならないとする国際基準との関係が問題となる。
自由権規約委員会一般的意見第31号: 規約上の権利侵害に対する実効的救済、継続する侵害の停止及び適切な是正措置との関係が問題となる。
国際違法行為に対する国家責任
国家責任条文第1条: 国家の国際違法行為が、当該国家の国際責任を生じさせることとの関係が問題となる。
国家責任条文第2条: 国家に帰属する行為又は不作為が、国際義務の違反を構成する場合に、国際違法行為が成立することとの関係が問題となる。
国家責任条文第4条: 地方公共団体の機関による行為又は不作為も、国際法上、国家に帰属し得ることとの関係が問題となる。
国家責任条文第12条: 国家の行為又は不作為が、国際義務に適合しない場合に、義務違反が成立することとの関係が問題となる。
国家責任条文第14条: 継続する行為又は不作為による義務違反が、是正されるまで継続し得ることとの関係が問題となる。
国家責任条文第30条: 継続する国際違法行為の停止及び適切な再発防止措置との関係が問題となる。
国家責任条文第31条: 国際違法行為によって生じた損害に対する完全な賠償との関係が問題となる。
国家責任条文第32条: 国内法を理由として、国際違法行為に伴う義務を免れることができないこととの関係が問題となる。
※各規定の詳しい解釈、本件への適用及び相互関係については、法的主張と違憲違法構造の整理で検討する。
本件との関係
本資料は、須賀川市が、2011年から2012年にかけて行われた議員辞職勧告決議に関する問題について、2025年4月3日の申入れを受けた後、法律相談を含む内部検討を行ったことを示す資料である。
須賀川市は、回答を留保したのではない。
市議会事務局と合同で法律相談を行い、その結果を踏まえて、申入内容に基づく各種対応を行わない方針を定めた。その上で、2025年4月28日付の回答において、過去の対応について「市として適正に処理した」とする見解を示した。
したがって、本資料は、2011年当時の出来事そのものを示す資料であるだけでなく、須賀川市が、2025年の時点においても、過去の対応を是正せず、適正な処理であったと位置付けた経過を示す資料である。
本資料は、特に次の論点と関係する。
議員辞職勧告決議と無罪推定の原則との関係
本人の弁明の機会を確保しないまま行われた決議と適正手続との関係
4回にわたる辞職勧告決議の相当性
須賀川市及び須賀川市議会が、2025年の時点で過去の対応をどのように評価したか
申入れ後の内部検討、法律相談、回答決裁及び回答施行の経過
人権侵害の是正を求める申入れに対し、是正措置を講じなかったことの法的評価
関連資料
関連する固定ページ:
事件の記録と検証 第4部 無罪推定侵害
事件の記録と検証 第5部 救済を求める活動
法的主張と違憲違法構造の整理
関連する証拠記事:
2025年4月3日 須賀川市に提出した申入書
2025年4月14日 須賀川市の中間回答
2025年4月28日 須賀川市の回答
2025年4月19日 須賀川市議会による法律相談
関連する時系列:
2025年4月3日 須賀川市が申入書を受領
2025年4月14日 須賀川市が中間回答
2025年4月19日 須賀川市及び須賀川市議会事務局が合同で法律相談
2025年4月23日 回答案を起案
2025年4月24日 市長決裁
2025年4月28日 須賀川市が回答を施行
