資料の概要
資料名:
平成23年10月24日 議会運営委員会会議録
作成日:
2011年10月24日
作成主体:
須賀川市議会
取得経路:
情報開示請求により取得
資料の種類:
議会運営委員会会議録
対象となる時期:
2011年10月24日
掲載形式:
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原文PDF:
Skip to PDF contentこの資料で確認できる事実
本資料は、2011年10月24日に開かれた須賀川市議会議会運営委員会の会議録である。
会議は、午後2時40分に開会し、午後3時23分に閉会している。
出席委員は、八木沼久夫、関根保良、大寺正晃、塩田邦平、広瀬吉彦、加藤和記、菊地忠男、橋本健二である。
欠席委員はない。
事務局職員として、市川守議会事務局長、佐藤基寛局長補佐兼議事係長、横川幸枝主事が出席している。
会議では、最終日の日程に関する件、議会運営委員会幹事会における報告、一般質問の取り組みに関する協議等が扱われている。
本件との関係で重要なのは、議員提出議案として、圓谷年雄議員に関する議員辞職勧告決議案が扱われている点である。
議会事務局長は、過日の議員全員協議会で協議された、圓谷年雄議員に関する議員辞職勧告決議案について説明している。
この説明では、代表者会議で協議された文案について、一部訂正があったことが述べられている。
具体的には、当初の文案にあった「平成23年10月19日発行の地元新聞に」という記述を削除し、その後の文章として、圓谷年雄議員が道路交通法違反の疑いで逮捕されたことは極めて遺憾である、という趣旨の文案に修正することが説明されている。
この点は、新聞報道を直接根拠とする文言が、最終的な決議文案では削除されたことを示している。
もっとも、修正後の文案においても、逮捕されたことを前提として、政治的・道義的責任、市民感情、議会の権威保持及び名誉回復を理由に辞職を求める構成は維持されている。
また、決議文案では、市議会議員は、市民の代表として自らその職責の重さを深く自覚し、高い倫理観と見識を持って、市政の進展と市民のしあわせ実現に努めなければならないとされている。
その上で、圓谷年雄議員が道路交通法違反の疑いで逮捕されたことは極めて遺憾であり、市議会議員として、このような行為は市民の負託を受けた厳粛な議会への信頼と品位を著しく傷つけるものであるとされている。
さらに、議員である以前に一市民としての資質を問われるものであり、その政治的・道義的責任は免れず、市民感情からして許されるものではない、との趣旨が示されている。
そして、須賀川市議会は、議会の権威保持と名誉回復のため、圓谷年雄議員に対し、自らの意思により議員を辞職すべきであることを決議する、という文案が説明されている。
その後、当日の議会運営予定として、日程第1に、圓谷年雄議員に対する議員辞職勧告決議案の提案理由説明を行い、質疑、委員会付託及び討論を省略し、決議案の表決を行うことが説明されている。
したがって、本資料からは、第1回辞職勧告決議が本会議で突然扱われたものではなく、2011年10月24日の議会運営委員会において、提案理由説明、質疑省略、委員会付託省略、討論省略、表決という処理手順があらかじめ整理されていたことが確認できる。
重要な記載
本資料で特に重要なのは、2011年10月24日の時点で、圓谷年雄議員に対する議員辞職勧告決議案が、議会運営委員会において議員提出議案として扱われている点である。
この時点で、本人は逮捕後、勾留中であった。
また、本人はまだ起訴されていない。
刑事裁判も始まっていない。
本資料では、決議文案の訂正経緯も確認できる。
当初の文案には、地元新聞に関する記述が含まれていたが、その部分は削除され、最終的には、圓谷年雄議員が道路交通法違反の疑いで逮捕されたことは極めて遺憾である、という趣旨の文案に修正されている。
この点は、新聞報道を直接根拠とする文言が修正された一方で、逮捕という事実を前提に、議会が政治的・道義的責任、市民感情、議会の権威保持及び名誉回復を理由として辞職を求める構成を維持していたことを示している。
さらに、日程第1として、圓谷年雄議員に対する議員辞職勧告決議案の提案理由説明を行い、質疑、委員会付託及び討論を省略し、決議案の表決を行うことが予定されている。
したがって、本資料は、起訴前、勾留中、本人が刑事手続の当事者として身柄拘束を受けている段階で、須賀川市議会が辞職勧告決議案を本会議に上程し、質疑、委員会付託及び討論を省略して採決する方向で議会運営を整理していたことを示す資料である。
この資料から生じる疑問
1 起訴前、勾留中に辞職勧告決議案を本会議に上程することは適切だったのか
本資料が作成された2011年10月24日の時点で、本人はまだ起訴されていない。
刑事裁判も始まっていない。
本人は、逮捕後、身柄拘束を受けている段階であった。
その時点で、公的機関である市議会が、本人に対する辞職勧告決議案を本会議に上程する方向で議会運営を整理することは、無罪推定、適正手続及び裁判の公平性との関係でどのように説明されるのか。
2 逮捕を前提とする評価によって、辞職を求めることは許されるのか
本資料では、圓谷年雄議員が道路交通法違反の疑いで逮捕されたことは極めて遺憾であるとの文案が示されている。
しかし、逮捕は有罪判決ではない。
逮捕された者が、直ちに犯罪事実を行った者と扱われるわけではない。
有罪判決が確定する前の者は、無罪と推定される。
それにもかかわらず、逮捕を前提として、政治的・道義的責任、市民感情、議会の権威保持及び名誉回復を理由に辞職を求めることは、無罪推定の原則と整合するのか。
3 本人の弁明又は反論の機会は、どのように確保されていたのか
本資料では、日程第1として、圓谷年雄議員に対する議員辞職勧告決議案の提案理由説明を行い、質疑、委員会付託及び討論を省略し、決議案の表決を行うことが予定されている。
しかし、本人は当時、勾留中であった。
本会議に出席して説明又は反論を行うことができる状態にあったとはいえない。
本人の政治的地位、名誉及び社会的評価に重大な影響を及ぼし得る決議について、本人の弁明又は反論の機会は、どの段階で、どのように確保されていたのか。
4 質疑、委員会付託及び討論を省略する扱いは、適切だったのか
本資料では、辞職勧告決議案について、提案理由説明の後、質疑、委員会付託及び討論を省略し、表決を行うことが予定されている。
辞職勧告決議は、形式上は法的拘束力を持たないとしても、本人の政治的地位、名誉、社会的評価及び議員活動に重大な影響を及ぼし得る。
そのような決議について、質疑、委員会付託及び討論を省略することは、適正手続及び議会の慎重審議の観点から適切だったのか。
5 市議会は、刑事裁判による判断を先取りしたのではないか
本資料では、逮捕を前提として、議員辞職勧告決議案が本会議に上程される方向で整理されている。
しかし、この時点で起訴はされていない。
初公判も開かれていない。
有罪判決も言い渡されていない。
刑事責任の有無は、裁判所が証拠に基づいて判断すべき事項である。
公的機関である市議会が、判決前の段階で、逮捕を前提として辞職勧告決議案を処理することは、司法判断を先取りするものではないか。
6 自由権規約第14条第2項及び一般的意見第32号30項に照らし、本資料の内容はどのように説明されるのか
日本は、自由権規約(ICCPR)を批准している。
自由権規約第14条第2項は、刑事上の罪に問われている者が、法律により有罪と認められるまでは、無罪と推定される権利を保障している。
自由権規約委員会一般的意見第32号30項は、すべての公的機関に対し、裁判結果を予断しない義務を示している。
須賀川市議会は、公的機関である。
その公的機関が、起訴前、勾留中の段階で、本人に対する辞職勧告決議案を本会議で扱う方向を整理したことは、自由権規約第14条第2項及び一般的意見第32号30項との関係でどのように説明されるのか。
関連法規・条約・国際法上の基準
国内法
日本国憲法第13条: 個人の尊重及び人格的利益との関係が問題となる。辞職勧告決議及びその前段階の議会内部協議が、本人の名誉、社会的評価及び政治的地位に与えた影響が問題となる。
日本国憲法第31条: 適正手続の保障との関係が問題となる。本件では、本人に弁明又は反論の機会が十分に確保されていたかだけでなく、公的機関である市議会が、刑事裁判の判決前に有罪を前提とする評価を示したこと自体が、適正手続及び無罪推定の趣旨と整合するのかが問題となる。
日本国憲法第32条: 裁判を受ける権利との関係が問題となる。判決前に公的機関が有罪を前提とする評価を示し、その評価が報道及び社会的評価を通じて広がった場合に、その後の刑事裁判において、本人が公平な司法判断を受ける地位が十分に保障されていたといえるのかが問題となる。
日本国憲法第37条第1項: 刑事被告人が公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利との関係が問題となる。判決前の公的機関による有罪視が、捜査、公判及び判決に外部的圧力を及ぼし得る状況の中で、公平な裁判が保障されていたといえるのかが問題となる。
日本国憲法第76条第3項: 裁判官が独立して職権を行使し、憲法及び法律のみに拘束されるべきこととの関係が問題となる。刑事責任の有無を判断する権限を有しない市議会が、判決前に犯罪事実を前提とする評価を示したことは、裁判所による司法判断を先取りし、司法権の独立及び裁判の公平性との関係で問題となる。
日本国憲法第98条第2項: 日本国が締結した条約及び確立された国際法規を誠実に遵守する必要があることを定めている。日本が批准した自由権規約を誠実に履行すべき義務との関係が問題となる。
日本国憲法第99条: 市議会議員その他の公務員が負う憲法尊重擁護義務との関係が問題となる。公的機関である市議会が、判決前に有罪を前提とする評価を示したことが、憲法尊重擁護義務と整合するのかが問題となる。
刑事訴訟法第336条: 犯罪の証明がない場合には無罪判決をしなければならないことを定めている。刑事裁判における無罪推定の原則との関係が問題となる。
国際人権条約 自由権規約(ICCPR)
自由権規約第14条第1項: 公平な裁判を受ける権利との関係が問題となる。判決前に公的機関が有罪を前提とする評価を示し、その評価が報道及び社会的評価を通じて広がった場合に、その影響下で行われた刑事手続及び裁判が、公正な裁判を受ける権利を十分に保障したものといえるのかが問題となる。
自由権規約第14条第2項: 刑事上の罪に問われている者は、法律により有罪と認められるまでは無罪と推定される権利を保障される。本件では、刑事裁判の判決前に、公的機関である市議会が有罪を前提とする評価を示したこと自体が、無罪推定の原則との関係で問題となる。
条約の履行及び解釈に関する基準
条約法に関するウィーン条約(VCLT)第26条: 効力を有する条約は当事国を拘束し、誠実に履行されなければならない。日本が批准した自由権規約を誠実に履行すべき義務との関係が問題となる。
条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条: 国内法を理由として、条約上の義務を履行しないことを正当化できない。地方議会による行為であること、議会内部の問題であること、又は国内制度上の手続が定められていないことを理由として、自由権規約上の義務との関係を検討しなくてよいことになるのかが問題となる。
自由権規約委員会一般的意見第32号30項: 公的機関が、刑事裁判の結果を先取りする形で被告人の有罪を表明してはならないとする国際基準との関係が問題となる。
※各規定の詳しい解釈、本件への適用及び相互関係については、法的主張と違憲違法構造の整理で検討する。
本件との関係
本資料は、2011年10月26日の第1回辞職勧告決議が本会議で扱われる前に、議会運営委員会でどのような処理が予定されていたのかを示す資料である。
本資料では、圓谷年雄議員に対する議員辞職勧告決議案について、議員提出議案として説明され、提案理由説明、質疑省略、委員会付託省略、討論省略、表決という流れで処理することが予定されている。
この時点で、本人は起訴されていない。
刑事裁判も始まっていない。
本人は勾留中であり、本会議に出席して弁明又は反論を行うことができる状態ではなかった。
それにもかかわらず、公的機関である須賀川市議会は、本人に対する辞職勧告決議案を本会議で扱う方向を、議会運営委員会において整理していた。
このことは、第1回辞職勧告決議が、本会議で偶発的に扱われたものではなく、10月24日の議会運営委員会において、質疑、委員会付託及び討論を省略し、表決するという処理手順があらかじめ整理された上で本会議に上程されたことを示している。
本件では、このような議会運営上の処理が、無罪推定、適正手続、裁判の公平性及び司法判断の先取りとの関係でどのように説明されるのかを検証する必要がある。
特に、本人が起訴前であったこと、勾留中であったこと、刑事裁判が始まっていなかったこと、質疑、委員会付託及び討論を省略する手続が予定されていたことを踏まえると、本資料は、第1回辞職勧告決議の手続的構造を検証する上で重要な資料である。
また、本資料では、新聞報道に関する文言が決議文案から削除された経緯も確認できる。
しかし、新聞報道に関する文言が削除された後も、逮捕という事実を前提に、本人に辞職を求める構成は維持されている。
この点は、第1回辞職勧告決議が、単なる報道引用ではなく、公的機関である市議会自身の判断として、起訴前、勾留中の本人に対して辞職を求める方向で整理されていたことを示している。
関連資料
関連する固定ページ:
関連する証拠記事:
須賀川市議会議会運営委員会会議録―起訴前勾留中の第1回辞職勧告決議に向けた内部協議
須賀川市議会議会運営委員会会議録―初公判前の第2回辞職勧告決議に向けた内部協議
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須賀川市議会提出文書―辞職勧告決議の検証と是正を求めた陳情書
須賀川市議会内部文書―人権侵害の是正を求める陳情書に関する会派代表者会議協議会結果報告
須賀川市内部文書―人権侵害の是正申入れ後に実施された法律相談
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関連する規範記事:
規範篇―自由権規約(ICCPR)第14条第2項:無罪推定の原則
規範篇―一般的意見32号第30項:公的機関による判決前の裁判結果の予断禁止
規範篇―一般的意見31号第15項:調査義務と救済不実施それ自体の問題
規範篇―条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条:国内制度を理由に条約義務を免れられるのか
関連する時系列:
2011年(平成23年)10月18日 本件事故が発生したとされた。
2011年(平成23年)10月19日 圓谷年雄が警察署に任意出頭した後、逮捕状に基づいて通常逮捕され勾留開始。現行犯逮捕ではなかった。
2011年(平成23年)10月24日 第1回辞職勧告決議前の議会運営委員会
2011年(平成23年)10月26日 第1回辞職勧告決議
2011年(平成23年)11月9日 起訴され、その後保釈された。
2011年(平成23年)11月28日 第2回辞職勧告決議前の議会運営委員会
2011年(平成23年)12月1日 第2回辞職勧告決議
2012年(平成24年)1月16日 有罪判決
2012年(平成24年)1月31日 判決確定
2012年(平成24年)2月7日 第3回辞職勧告決議前の議会運営委員会
2012年(平成24年)2月9日 第3回辞職勧告決議
2012年(平成24年)2月27日 第4回辞職勧告決議前の議会運営委員会
2012年(平成24年)3月1日 第4回辞職勧告決議
