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規範篇―条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条:国内法と条約義務について

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資料の概要

資料名:
条約法に関するウィーン条約

英語名:
Vienna Convention on the Law of Treaties

略称:
VCLT

対象条文:
第27条

原文:
A party may not invoke the provisions of its internal law as justification for its failure to perform a treaty. This rule is without prejudice to article 46.

和訳:
当事国は、条約を履行しないことの正当化理由として、自国の国内法の規定を援用することができない。この規則は、第46条の規定を害するものではない。

採択主体:
国際連合条約法会議

採択年:
1969年

発効年:
1980年

日本との関係:
日本については、1981年(昭和56年)8月1日に効力が生じている。

資料の種類:
条約の締結、効力、解釈、履行等に関する国際条約

取得経路:
国際連合国際法委員会公開資料

掲載形式:
原文及び和訳、要旨及び本件との関係を整理

原文資料:

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条約法に関するウィーン条約について:
条約法に関するウィーン条約は、条約の締結、効力、解釈、履行、終了等に関する基本的な国際法上の規則を定める条約である。

本件との関係で特に重要なのは、同条約第26条及び第27条である。

第26条は、効力を有する条約は当事国を拘束し、誠実に履行されなければならないと定める。

第27条は、当事国が、条約を履行しないことの正当化理由として、自国の国内法の規定を援用することはできないと定める。

したがって、自由権規約(ICCPR)の締約国である日本は、国内制度上の説明だけを理由に、自由権規約上の義務を履行しないことを正当化することはできない。

本件では、辞職勧告決議に法的拘束力がないこと、陳情制度上当然の処理義務がないこと、地方議会の内部処理であること、市長部局と議会が別機関であること、法務局の人権救済制度を案内したことなどを理由として、自由権規約上の問題を検討しなくてよいことになるのかが問題となる。

この資料で確認できる事実

本資料は、条約法に関するウィーン条約の条文である。

条約法に関するウィーン条約第27条は、当事国が、条約を履行しないことの正当化理由として、自国の国内法の規定を援用することができないと定めている。

この規定は、条約上の義務と国内法上の制度説明との関係を理解する上で重要である。

国家が条約を締結した場合、その国家は、条約上の義務を誠実に履行しなければならない。

国内法上の制度、手続、権限分配、機関の区別、法的効果の有無などを理由として、条約上の義務を履行しないことを正当化することはできない。

本件では、日本が1979年(昭和54年)に自由権規約を批准している。

したがって、2011年(平成23年)の辞職勧告決議当時、日本には自由権規約第14条第2項の無罪推定を遵守すべき条約上の義務が存在していた。

また、2025年(令和7年)の是正申入れ、陳情、法律相談及び回答の時点においても、日本には自由権規約第2条第3項の実効的救済に関する義務が存在していた。

この点で、条約法に関するウィーン条約第27条は、本件において、国内制度上の説明だけで自由権規約上の問題を回避できるのかを検討するための重要な資料である。

特に、本件では、辞職勧告決議は法的拘束力を持たない政治的意思表示である、陳情は請願と異なり議会に当然の処理義務を生じさせない、地方議会の判断である、法務局の人権救済制度を案内した、などの説明が問題となる。

しかし、自由権規約上問題となるのは、国内法上の形式分類だけではない。

問題は、公的機関が、判決前に裁判結果を予断するような公的意思表示を行ったのか、また、その後、権利侵害の申立てに対して実効的救済又は迅速、徹底的かつ実効的な調査が行われたのかである。

したがって、条約法に関するウィーン条約第27条は、本件を、国内制度論だけでなく、国際人権条約上の義務として検討するための基礎となる。

重要な記載

本資料で特に重要なのは、条約法に関するウィーン条約第27条が、条約不履行の正当化理由として国内法を援用することを禁止している点である。

自由権規約第14条第2項は、刑事上の罪に問われている者が、法律に基づいて有罪と証明されるまでは無罪と推定される権利を保障している。

また、一般的意見32号第30項は、すべての公的機関が裁判結果を予断することを控えるべきであると示している。

さらに、自由権規約第2条第3項は、規約上の権利又は自由を侵害された者が、実効的な救済を受けることを確保する義務を定めている。

これらの自由権規約上の義務について、国内制度上の説明だけで回避できるのかが本件では問題となる。

たとえば、辞職勧告決議は法的拘束力を持たない、議員資格を直ちに失わせるものではない、という説明がある。

しかし、自由権規約第14条第2項及び一般的意見32号第30項との関係で問題となるのは、法的拘束力の有無だけではない。

問題は、公的機関が、判決前に裁判結果を予断するような公的意思表示を行ったかどうかである。

また、陳情は請願と異なり、議会に当然の処理義務を生じさせないという説明がある。

しかし、自由権規約第2条第3項及び一般的意見31号との関係で問題となるのは、陳情制度上の形式的効果だけではない。

問題は、自由権規約上の権利侵害の申立てに対して、権限ある機関が実効的救済を確保したのか、迅速、徹底的かつ実効的な調査又は検証を行ったのかである。

さらに、市長部局と議会は別機関であるという説明もある。

もちろん、地方自治法上、市長部局と議会は別個の機関である。

しかし、条約法に関するウィーン条約第27条との関係では、国内法上の機関分担を理由として、自由権規約上の義務を履行しないことを正当化できるのかが問題となる。

本件では、須賀川市議会が過去に辞職勧告決議を行い、須賀川市及び須賀川市議会が2025年以降の是正申入れや陳情に対応している。

したがって、国内制度上の役割分担を確認することは必要であるとしても、それだけで自由権規約上の検証義務、救済義務又は調査義務の問題が消えるわけではない。

この点で、条約法に関するウィーン条約第27条は、本件における国内制度論による回避を検討する上で、極めて重要な規範である。

この資料から生じる疑問

1 国内制度上の説明だけで、自由権規約上の問題を回避できるのか

条約法に関するウィーン条約第27条は、当事国が、条約を履行しないことの正当化理由として、自国の国内法を援用することはできないと定めている。

本件では、辞職勧告決議の法的性質、陳情制度の取扱い、市長部局と議会の機関分担、法務局の人権救済制度など、国内制度上の説明が問題となる。

しかし、自由権規約上問題となるのは、国内制度上どのように分類されるかだけではない。

問題は、自由権規約第14条第2項の無罪推定、自由権規約第2条第3項の実効的救済、一般的意見32号第30項の公的機関による裁判結果予断禁止、一般的意見31号の調査義務及び救済義務が、本件でどのように扱われたのかである。

したがって、国内制度上の説明だけで、自由権規約上の問題を回避できるのかが問われる。

2 辞職勧告決議に法的拘束力がないことは、無罪推定上の問題を否定する理由になるのか

辞職勧告決議は、一般に、対象議員の資格を直ちに失わせる法的効果を持つものではないと説明される。

しかし、自由権規約第14条第2項及び一般的意見32号第30項との関係で問題となるのは、法的拘束力の有無だけではない。

一般的意見32号第30項は、すべての公的機関が裁判結果を予断することを控えるべきであると示している。

また、同項が参照する Gridin v. Russian Federation では、法的拘束力を持つ処分ではなく、公的機関関係者による発言が無罪推定との関係で問題とされた。

このことからすれば、辞職勧告決議に法的拘束力がないことは、無罪推定上の問題を当然に否定する理由にはならない。

条約法に関するウィーン条約第27条との関係でも、国内法上の法的効果の有無だけを理由に、自由権規約上の義務の検討を回避することはできない。

3 陳情制度上当然の処理義務がないことは、実効的救済の問題を否定する理由になるのか

本件では、陳情は請願とは異なり、議会に当然何らかの処理を要求するものではないとの説明がなされている。

しかし、自由権規約第2条第3項は、規約上の権利又は自由を侵害された者に対し、実効的救済を受けることを確保する義務を定めている。

また、一般的意見31号第15項は、違反の申立てに対して、迅速、徹底的かつ実効的な調査が必要であり、調査しないこと自体が別個の規約違反を生じさせ得ると示している。

したがって、陳情制度上当然の処理義務がないという国内制度上の説明だけで、自由権規約第2条第3項及び一般的意見31号上の問題を回避できるわけではない。

条約法に関するウィーン条約第27条は、国内制度を理由として条約不履行を正当化できないことを示している。

そのため、本件では、陳情制度上の形式的説明とは別に、実効的救済、調査、検証、是正の問題を検討する必要がある。

4 市長部局と議会が別機関であることは、条約上の問題を消すのか

地方自治法上、市長部局と議会は別個の機関である。

この機関分担は、国内法上の整理として重要である。

しかし、条約法に関するウィーン条約第27条との関係では、国内法上の機関分担を理由として、自由権規約上の義務を履行しないことを正当化できるのかが問題となる。

本件では、辞職勧告決議を行った主体は須賀川市議会である。

一方で、2025年の申入れに対し、須賀川市長名の回答も行われている。

また、市側及び議会側の双方で法律相談が実施されている。

このように、本件では、市長部局と議会の双方が、過去の辞職勧告決議及びその後の救済又は是正の問題に関与している。

したがって、市長部局と議会が別機関であることは、それぞれの責任範囲を整理するためには重要である。

しかし、それだけで自由権規約上の無罪推定、実効的救済、調査義務、救済不実施の問題が消えるわけではない。

5 法務局の人権救済制度を案内すれば、条約上の実効的救済は尽くされたことになるのか

本件では、須賀川市が、2025年4月28日付回答において、法務局の人権救済制度を案内している。

しかし、これは、須賀川市自身又は須賀川市議会自身が、過去の辞職勧告決議について実質的な検証、説明、是正又は再発防止を行ったことを意味するものではない。

自由権規約第2条第3項は、規約上の権利又は自由を侵害された者に対し、実効的救済を確保することを求めている。

一般的意見31号第15項は、違反の申立てを迅速、徹底的かつ実効的に調査する必要を示している。

したがって、法務局の制度を案内したことだけで、須賀川市又は須賀川市議会自身が自由権規約上の問題を検証しなくてよいことになるのかが問題となる。

条約法に関するウィーン条約第27条との関係でも、国内制度上の別制度を案内したことを理由として、自由権規約上の検討や救済の問題を回避できるのかは慎重に検討する必要がある。

6 「議会で判断する内容の域を超えている」という説明で足りるのか

本件では、2025年の議会内部資料において、議会で判断する内容の域を超えているという趣旨の整理が確認されている。

しかし、須賀川市議会は、2011年から2012年にかけて、実際に辞職勧告決議を行った主体である。

その議会に対して、後に同決議の憲法上及び自由権規約上の問題について検証及び是正を求める陳情が提出されている。

この場合、過去に自ら行った公的意思表示について、現在の議会がどのように検証し、説明し、是正するのかが問題となる。

条約法に関するウィーン条約第27条との関係では、国内制度上の処理範囲や議会運営上の説明だけで、自由権規約上の実効的救済又は調査義務の問題を回避できるのかが問われる。

7 条約上の義務は、国内機関のすべてに及ぶのではないか

自由権規約上の義務は、国家全体に課される。

そのため、条約上の義務を履行すべき主体は、中央政府だけに限られない。

地方公共団体、地方議会、行政機関、公務員も、国内法上の権限範囲において、憲法及び条約上の人権保障を尊重すべき立場にある。

本件では、須賀川市議会が地方公共団体の議事機関として辞職勧告決議を行い、須賀川市及び須賀川市議会が2025年以降の是正申入れや陳情に対応している。

したがって、地方議会又は市の内部問題であることを理由として、自由権規約上の義務の検討から外れるわけではない。

条約法に関するウィーン条約第27条は、この点を検討する上で重要である。

8 再審制度上の要件を理由に、自由権規約上の問題を回避できるのか

本件では、判決前の辞職勧告決議による無罪推定侵害だけでなく、その後の刑事裁判、再審請求、再審棄却の問題も検討対象となる。

国内法上、再審には刑事訴訟法上の要件がある。

また、裁判所は、再審請求について、証拠の新規性、明白性、確定判決への影響などを審査する。

しかし、条約法に関するウィーン条約第27条との関係では、国内再審制度の枠組みや運用を理由として、自由権規約上の義務を履行しないことを正当化できるのかが問題となる。

自由権規約第14条第2項は、刑事上の罪に問われている者について、有罪と証明されるまでは無罪と推定される権利を保障している。

一般的意見32号第30項は、すべての公的機関が裁判結果を予断することを控えるべきであると示している。

したがって、判決前に公的機関による裁判結果の予断又は有罪を前提とするような公的意思表示が存在した場合、その時点で自由権規約第14条第2項の無罪推定との関係で問題となる。

この問題は、刑事裁判の結論に具体的影響を与えたことが証明されて初めて成立するものではない。

無罪推定は、刑事責任が法律に基づいて証明される前の公的機関の扱いを規律する原則である。

そのため、判決前の公的有罪視それ自体が、自由権規約第14条第2項との関係で独立して問題となる。

もっとも、そのような公的有罪視が、供述形成、弁護活動、社会的圧力、刑事裁判の公平性、又は裁判所の判断環境に影響を与えた可能性がある場合には、問題はさらに重大となる。

つまり、刑事裁判への影響は、無罪推定侵害の成立要件ではなく、侵害の重大性、救済の必要性、及び再審手続で検討すべき範囲を補強する事情である。

また、自由権規約第2条第3項及び一般的意見31号第15項・第16項は、権利侵害に対する実効的救済、迅速、徹底的かつ実効的な調査、継続中の違反の停止、賠償又は修復、公式謝罪、再発防止、関連する法律及び実務の変更などを示している。

したがって、再審手続において、裁判所が、判決前の公的有罪視という自由権規約上の問題を、単なる国内再審要件の形式論だけで排除してよいのかが問われる。

再審制度上の要件が存在すること自体は当然である。

しかし、その要件の解釈及び適用が、自由権規約上の無罪推定、公正な裁判、実効的救済の問題を実質的に検討しないまま遮断するものである場合、条約法に関するウィーン条約第27条との関係で問題となる。

裁判所もまた、国内法上の再審制度、確定判決の存在、証拠の新規性又は明白性の判断枠組みを理由として、自由権規約上の義務を検討しなくてよい立場にはない。

この点で、条約法に関するウィーン条約第27条は、市及び市議会だけでなく、裁判所による再審判断を検証する上でも重要な規範である。

関連法規・条約・国際法上の基準

条約の履行及び解釈に関する基準

条約法に関するウィーン条約(VCLT)第26条: 効力を有する条約は当事国を拘束し、誠実に履行されなければならないと定める。自由権規約を誠実に履行すべき義務との関係で重要である。

条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条: 当事国は、条約を履行しないことの正当化理由として、自国の国内法を援用することができないと定める。本記事の中心となる規範である。

国際人権条約

自由権規約第14条第2項: 無罪推定を定める。本件では、判決前の辞職勧告決議がこの規定との関係で問題となる。

自由権規約第2条第3項: 自由権規約上の権利又は自由を侵害された者が、実効的な救済を受けることを確保する義務を定める。本件では、2025年以降の是正申入れ、陳情、法律相談及び回答との関係で問題となる。

自由権規約第14条第1項: 公正な裁判を受ける権利を定める。判決前の公的有罪視及び刑事裁判の公平性との関係で問題となる。

自由権規約第25条: 政治参加権との関係が問題となる。選挙で選ばれた議員に対する辞職勧告決議の反復及びその後の対応が、政治的地位及び議員活動にどのような影響を与えたのかが問題となる。

一般的意見

一般的意見32号第30項: 無罪推定について、すべての公的機関が裁判結果を予断することを控えるべきことを示す。国内法上、辞職勧告決議に法的拘束力がないことだけで、無罪推定上の問題を否定できるのかを検討する上で重要である。

一般的意見31号第15項: 利用可能で実効的な救済、司法上及び行政上の仕組み、違反の申立てに対する迅速、徹底的かつ実効的な調査、調査不実施それ自体の問題、継続中の違反の停止について示す。本件における2025年以降の検証不実施又は救済不実施との関係で重要である。

一般的意見31号第16項: 規約上の権利を侵害された個人に対する賠償又は修復、適切な補償、原状回復、リハビリテーション、公式謝罪、再発防止の保証、関連する法律及び実務の変更などを示す。救済の内容を検討する上で重要である。

国内法

日本国憲法第13条: 個人の尊重、人格権、名誉及び社会的評価との関係が問題となる。過去の辞職勧告決議及びその後の対応が、本人の人格的利益にどのような影響を与えたのかを検討する必要がある。

日本国憲法第16条: 請願権との関係が問題となる。申入れ又は陳情によって権利侵害の検証及び是正を求めた場合、公的機関がどのように対応すべきかが問題となる。

日本国憲法第31条: 適正手続との関係が問題となる。判決前の辞職勧告決議及びその後の検証拒否又は形式的処理が、適正手続との関係で問題となる。

日本国憲法第37条: 公平な裁判所による公正な裁判を受ける権利との関係が問題となる。判決前の公的有罪視及びその後の救済不実施が、刑事裁判の公正とどのように関係するのかを検討する必要がある。

日本国憲法第76条第1項: 司法権が裁判所に属することを定める。判決前に地方議会が刑事責任を予断するような公的意思表示を行った場合、司法権の所在との関係で問題となる。

日本国憲法第76条第3項: 裁判官の独立を定める。判決前の公的有罪視及びその後の是正不実施が、公正な裁判及び裁判官の独立との関係で問題となる。

日本国憲法第98条第2項: 日本国が締結した条約及び確立された国際法規を誠実に遵守することを定める。自由権規約及び条約法に関するウィーン条約の国内的意義との関係で重要である。

日本国憲法第99条: 公務員の憲法尊重擁護義務を定める。地方議会議員、地方公共団体の長及び職員が、憲法及び条約上の人権保障をどのように尊重すべきかが問題となる。

地方自治法第89条第1項から第3項: 地方議会を、住民が選挙した議員により組織される議事機関として位置付け、議会の権限及び議員の誠実な職務遂行を定める。地方議会が自ら行った過去の公的意思表示について、後に憲法上及び自由権規約上の問題を指摘された場合、どのように検証し説明すべきかを検討する上で重要である。

本件との関係

ここでいう国内制度上の説明には、辞職勧告決議の法的拘束力の有無、陳情制度上の取扱い、市長部局と議会の機関分担、法務局の人権救済制度の案内だけでなく、再審制度上の要件、確定判決の存在、証拠の新規性又は明白性に関する国内法上の判断枠組みも含まれる。

条約法に関するウィーン条約第27条は、日本が加入し、日本について効力が発生している条約上の規範であり、日本国憲法第98条第2項の誠実遵守義務に支えられる。

したがって、本件では、須賀川市及び須賀川市議会の対応だけでなく、裁判所による再審判断についても、国内法上の制度説明を理由として、自由権規約上の無罪推定、公正な裁判及び実効的救済の問題を実質的に検討しないことが許されるのか、自由権規約上の問題を回避できるのかが繰り返し問題となる。

第1に、辞職勧告決議は法的拘束力を持たないという説明がある。

しかし、本件で問題となるのは、辞職勧告決議によって直ちに議員資格を失ったかどうかだけではない。

問題は、地方議会という公的機関が、判決前に裁判結果を予断するような公的意思表示を行ったのではないかという点である。

自由権規約第14条第2項及び一般的意見32号第30項との関係では、法的拘束力の有無だけで問題を否定することはできない。

第2に、陳情制度上当然の処理義務がないという説明がある。

しかし、本件では、自由権規約上の権利侵害の申立てがなされ、検証及び是正が求められている。

その場合、自由権規約第2条第3項及び一般的意見31号第15項・第16項との関係で、実効的救済、迅速、徹底的かつ実効的な調査、継続中の違反の停止、賠償又は修復、公式謝罪、再発防止、関連する実務の変更などが問題となる。

したがって、陳情制度上の形式的説明だけで、自由権規約上の救済又は調査の問題を回避できるのかが問われる。

第3に、市長部局と議会は別機関であるという説明がある。

この点は、国内法上の権限分配としては重要である。

しかし、条約法に関するウィーン条約第27条との関係では、国内法上の機関分担を理由として、自由権規約上の義務を履行しないことを正当化できるのかが問題となる。

本件では、須賀川市議会が辞職勧告決議を行い、須賀川市及び須賀川市議会が2025年以降の是正申入れや陳情に対応している。

したがって、それぞれの機関の責任範囲を整理した上で、自由権規約上の問題を検討する必要がある。

第4に、法務局の人権救済制度を案内したことが問題となる。

須賀川市は、2025年4月28日付回答において、法務局の人権救済制度を案内している。

しかし、法務局の制度を案内したことは、須賀川市自身又は須賀川市議会自身が、本件について実質的な検証、説明、是正又は再発防止を行ったことを意味しない。

自由権規約第2条第3項及び一般的意見31号第15項・第16項との関係では、権利侵害の申立てに対して、実効的救済又は迅速、徹底的かつ実効的な調査が行われたのかが問題となる。

第5に、2025年の法律相談で示された法的理解が問題となる。

本件では、2025年4月19日の須賀川市側法律相談において、逮捕されているため、有罪に近い推定がされても問題ないという趣旨の整理が確認されている。

しかし、自由権規約第14条第2項は、有罪と証明されるまでは無罪と推定される権利を保障している。

また、一般的意見32号第30項は、すべての公的機関が裁判結果を予断することを控えるべきであると示し、未決拘禁の期間の長さが有罪であること又はその程度を示すものとして扱われてはならないとしている。

したがって、逮捕又は勾留を理由として有罪に近い推定を許容するような理解は、自由権規約上重大な問題を生じさせる。

そのような法的理解を前提として、2025年4月28日付で「市として適正に処理した」と回答したのであれば、それは国内制度上の説明以前に、自由権規約上の無罪推定及び実効的救済の観点から検証されるべきである。

第6に、再審手続における国内法上の要件を理由として、自由権規約上の問題を回避できるのかが問題となる。

本件では、判決前に、須賀川市議会による辞職勧告決議が行われている。

第1回辞職勧告決議は、起訴前、勾留中、本人欠席の段階で行われた。

第2回辞職勧告決議は、起訴後ではあるものの、初公判前、判決前、本人退場後に行われた。

これらの辞職勧告決議は、刑事責任が法律に基づいて証明される前に、公的機関が本人を有罪であるかのように扱ったのではないかという問題を生じさせる。

この問題は、判決前の公的有罪視それ自体として、自由権規約第14条第2項の無罪推定との関係で独立して問題となる。

そして、本件では、その後に刑事裁判が進行し、有罪判決が言い渡され、確定している。

さらに、本人は、判決前の公的有罪視、無罪推定原則の侵害、供述形成過程、刑事裁判への影響などを問題として、再審による救済を求めている。

国内法上、再審には刑事訴訟法上の要件がある。

また、裁判所は、再審請求について、証拠の新規性、明白性、確定判決への影響などを審査する。

しかし、条約法に関するウィーン条約第27条との関係では、国内再審制度の要件、確定判決の存在、証拠評価の枠組み、国内判例上の運用などを理由として、自由権規約上の義務を履行しないことを正当化できるのかが問題となる。

再審制度上の要件が存在すること自体は当然である。

しかし、その要件の解釈及び適用が、判決前の公的有罪視という自由権規約上の問題を実質的に検討しないまま遮断するものである場合、条約法に関するウィーン条約第27条との関係で問題となる。

裁判所もまた、国内法上の再審制度、確定判決の存在、証拠の新規性又は明白性の判断枠組みを理由として、自由権規約上の無罪推定、公正な裁判及び実効的救済の問題を検討しなくてよい立場にはない。

第7に、本件では、国内救済手続全体が実効的であったのかが問題となる。

自由権規約第2条第3項は、規約上の権利又は自由を侵害された者に対し、実効的救済を受けることを確保する義務を定めている。

一般的意見31号第15項・第16項は、違反の申立てに対する迅速、徹底的かつ実効的な調査、継続中の違反の停止、賠償又は修復、公式謝罪、再発防止、関連する法律及び実務の変更などを示している。

したがって、本件では、須賀川市及び須賀川市議会の対応だけでなく、再審手続を含む国内救済手続全体が、自由権規約上の実効的救済として機能したのかが問題となる。

市及び市議会が実質的な検証を行わず、裁判所も再審手続において自由権規約上の問題を実質的に検討しないまま退けたのであれば、本件は、国内制度上は処理されたとしても、自由権規約上の救済が実効的に提供されたといえるのかが問われる。

このように、本件では、国内法上の形式、制度、権限分配、手続分類、再審要件、確定判決の存在を理由として、自由権規約上の義務を回避できるのかが繰り返し問題となる。

条約法に関するウィーン条約第27条は、そのような国内制度論による回避を検討するための中心的規範である。

本資料は、本件を、単なる地方議会内部の問題、行政対応の問題、又は国内再審制度上の形式問題としてではなく、自由権規約上の義務及びその誠実履行の問題として整理するための重要な資料である。

関連資料

関連する固定ページ:

事件の記録と検証

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事件の記録と検証 第2部

事件の記録と検証 第3部

事件の記録と検証 第4部

事件の記録と検証 第5部

証拠・文書群

法的主張と違憲違法構造の整理

関連する証拠記事:

須賀川市議会議事録―第1回辞職勧告決議の提案理由と採決状況

須賀川市議会議事録―第2回辞職勧告決議の提案理由と採決状況

須賀川市議会議事録―第3回辞職勧告決議の提案理由と採決状況

須賀川市議会議事録―第4回辞職勧告決議の提案理由と採決状況

須賀川市議会議会運営委員会会議録―起訴前勾留中の第1回辞職勧告決議に向けた内部協議

須賀川市議会議会運営委員会会議録―初公判前の第2回辞職勧告決議に向けた内部協議

須賀川市議会議会運営委員会会議録―判決確定後の第3回辞職勧告決議に向けた内部協議

須賀川市議会議会運営委員会会議録―判決確定後・辞職前の第4回辞職勧告決議に向けた内部協議

統合検証―逮捕から第2回辞職勧告決議まで

須賀川市提出文書―人権侵害の検証と是正を求めた申入書

須賀川市議会提出文書―辞職勧告決議の検証と是正を求めた陳情書

須賀川市議会内部文書―人権侵害の是正を求める陳情書に関する会派代表者会議協議会結果報告

須賀川市内部文書―人権侵害の是正申入れ後に実施された法律相談

須賀川市議会内部文書―人権侵害の是正申入れ後に実施された法律相談

須賀川市発出文書―人権侵害の是正申入れに対する最終回答

関連する規範記事:

規範篇―自由権規約(ICCPR)第14条第2項:無罪推定の原則

規範篇―一般的意見32号第30項:公的機関による判決前の裁判結果の予断禁止

規範篇―自由権規約第2条第3項:実効的救済を受ける権利

規範篇―一般的意見31号第15項:調査義務と救済不実施それ自体の問題

規範篇―条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条:国内制度を理由に条約義務を免れられるのか

関連する時系列:

2025年(令和7年)4月3日 圓谷年雄が、須賀川市に対して、辞職勧告決議により生じた人権侵害の是正を求める申入れを行い、あわせて須賀川市議会に対して陳情を行った。

2025年(令和7年)4月8日 須賀川市議会側において、本件陳情に関する会派代表者会協議会が開催された。

2025年(令和7年)4月19日 須賀川市側及び須賀川市議会側において、本件申入れ及び陳情に関する法律相談が行われた。

2025年(令和7年)4月28日 須賀川市から、本件申入れについて「適正に処理した」とする最終回答が行われた。

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Normative Framework—Article 27 of the Vienna Convention on the Law of Treaties: Domestic Law and Treaty Obligations

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