
資料の概要
資料名:
圓谷年雄氏に対して議員辞職を促す会
作成日:
作成日不明
作成主体:
圓谷年雄氏に対して議員辞職を促す会
発起人代表:
菊地忠男
提出先・配布先・配布部数:
不明
取得経路:
2011年12月に圓谷年雄が入手
資料の種類:
議員辞職を促す署名運動又は賛同依頼に関する配布文書
対象となる時期:
作成日及び配布日は不明である。
ただし、本文には、須賀川市議会が既に2度にわたり辞職勧告決議を行ったこと、また、2011年12月定例会における議会への出欠状況が記載されている。
そのため、本資料は、少なくとも2011年12月定例会の経過が明らかになった後に作成又は配布されたものと考えられる。
また、本文には第3回辞職勧告決議についての記載は確認できない。
したがって、本資料は、第2回辞職勧告決議後、第3回辞職勧告決議前の時期に作成又は配布された可能性がある。
もっとも、資料自体に作成日及び配布日の記載がないため、正確な作成日、配布開始日、配布部数及び配布範囲の詳細は、現時点では確認できない。
掲載形式:
原文PDF
原文PDF:
Skip to PDF content本資料の位置付け:
本資料は、須賀川市内において実際に配布された議員辞職要求文書である。
文書の表題は、「圓谷年雄氏に対して議員辞職を促す会」とされている。
本資料には、圓谷年雄氏が飲酒運転で逮捕起訴されていること、議員報酬及び期末手当を受けていること、議会欠席、須賀川市議会が2度にわたり議員辞職勧告を行ったこと、議会の総意を無視し続けていること、道義的責任を免れないこと、議員辞職を促すこと、賛同者の運動への同意を求めることが記載されている。
また、末尾には、発起人代表として菊地忠男氏の氏名が記載されている。
菊地忠男氏が当時の須賀川市議会議員であったことを踏まえると、本資料は、単なる私人又は純粋な民間団体による意見表明としてだけでは整理できない。
本資料は、須賀川市議会による2度の辞職勧告決議を前提として、市議会議員が発起人代表となり、議会外において議員辞職を促す運動又は賛同依頼が行われていたことを示す資料である。
この点で、本資料は、辞職勧告決議の形式的な法的拘束力の有無だけでは捉えきれない、議会決議、議員関与の議会外運動、社会的圧力、名誉・社会的評価への影響、政治的地位への圧力を検証する上で重要な資料である。
この資料で確認できる事実
本資料は、「圓谷年雄氏に対して議員辞職を促す会」と題する文書である。
本文冒頭には、「圓谷年雄氏は社会秩序の根幹である法規を破り、飲酒運転をおこし逮捕起訴されております」と記載されている。
この記載から、本資料が、圓谷年雄氏が逮捕され、起訴された後に作成された資料であることが確認できる。
また、本資料では、圓谷年雄氏について、市民の負託を受けた議員として、最もあるまじき行為の当事者であるにもかかわらず、毎月の議員報酬423,000円、期末手当228,420円を市民の血税から受けていると記載されている。
さらに、本資料では、議員活動を通して信頼回復をすると言っているものの、9月議会会期中の行為であり、決算特別委員会3日間と最終日を欠席していると記載されている。
本資料では、12月定例会においては、初日のみ出席したものの、2日目以降の本会議と常任委員会を自己都合として全て欠席していると記載されている。
また、須賀川市議会は2度にわたり「議員辞職勧告」を行ったが、圓谷年雄氏は議会の総意を無視し続けている状態であると記載されている。
その上で、本資料では、「罪は、償えば許されることかもしれません。しかしながら、議員という立場であればこそ『道義的責任』を免れることはできません」と記載されている。
そして、以上の主旨のもと、圓谷年雄氏の議員辞職を促すものであると記載されている。
末尾には、賛同者の運動に同意をお願いする旨が記載されている。
発起人代表として、菊地忠男氏の氏名が記載されている。
菊地忠男氏が当時の須賀川市議会議員であったことを踏まえると、本資料からは、須賀川市議会による2度の辞職勧告決議を前提として、市議会議員を発起人代表とする議会外の辞職要求運動又は賛同依頼が行われていたことが確認できる。
したがって、本資料は、辞職勧告決議が議会内部の意思表示にとどまらず、市議会議員関与の議会外運動へ接続していたことを示す資料である。
重要な記載
1 発起人代表が当時の市議会議員であった点
本資料の末尾には、発起人代表として菊地忠男氏の氏名が記載されている。
菊地忠男氏が当時の須賀川市議会議員であったことを踏まえると、本資料は、単なる一般市民による辞職要求文書としてだけでは整理できない。
本資料は、須賀川市議会が2度にわたり辞職勧告決議を行ったことを前提として、市議会議員を発起人代表とする形で、議会外において圓谷年雄氏の議員辞職を促す運動又は賛同依頼が行われていたことを示す資料である。
この点は、辞職勧告決議が、議会内部の意思表示にとどまらず、議員関与の議会外運動に接続していた可能性を検証する上で重要である。
2 「逮捕起訴」とする記載
本資料では、圓谷年雄氏について、飲酒運転を起こし、逮捕起訴されていると記載されている。
この記載から、本資料が、少なくとも起訴後に作成された資料であることが分かる。
本件では、2011年(平成23年)11月9日に起訴が行われ、同年12月1日に第2回辞職勧告決議が行われている。
本資料には、須賀川市議会が2度にわたり議員辞職勧告を行ったとの記載があるため、第2回辞職勧告決議後に作成又は配布された資料とみるのが自然である。
もっとも、資料自体に作成日が記載されていないため、作成日及び配布日は断定できない。
3 「2度にわたり議員辞職勧告」とする記載
本資料では、須賀川市議会が2度にわたり議員辞職勧告を行ったと記載されている。
この点は重要である。
第1回辞職勧告決議は、2011年(平成23年)10月26日、起訴前、勾留中、本人欠席のまま行われた。
第2回辞職勧告決議は、2011年(平成23年)12月1日、初公判前、判決前の段階で行われた。
本資料は、この2度の辞職勧告決議を前提として、議会外においても辞職を促す運動が行われていたことを示している。
さらに、発起人代表が当時の市議会議員であったことを踏まえると、議会の辞職勧告決議と議会外の辞職要求運動との接続は、より直接的に検証されるべきものとなる。
4 「議会の総意を無視」とする記載
本資料では、須賀川市議会が2度にわたり議員辞職勧告を行ったにもかかわらず、圓谷年雄氏は議会の総意を無視し続けている状態であると記載されている。
この記載は、法的拘束力を持たない辞職勧告決議が、議会の総意として扱われ、その総意に従わないこと自体が非難の対象とされていたことを示している。
この点は、第2回辞職勧告決議において、裁判の結果を待つという本人の姿勢が議会決定を軽視するものとして評価された構造とも接続する。
辞職勧告決議に法的拘束力がないとしても、それが議会の総意として社会に提示され、それに従わないことが非難の対象とされる場合、本人の政治的地位、名誉、社会的評価及び議員活動に対する圧力として機能し得る。
5 「道義的責任」を理由とする記載
本資料では、「罪は、償えば許されることかもしれません。しかしながら、議員という立場であればこそ『道義的責任』を免れることはできません」と記載されている。
この記載は、刑事責任とは別に、議員としての道義的責任を理由として辞職を求める構成を示している。
この点は、須賀川市議会の辞職勧告決議において用いられた「政治的、道義的責任」と同種の構造を持つ。
ただし、本件で問題となるのは、道義的責任という言葉そのものではない。
問題は、刑事責任が裁判所で確定する前後の時期において、道義的責任という評価を用いて、本人に対する辞職要求、社会的非難、署名運動が形成されていたことが、本人の名誉、人格的利益、政治的地位及び議員活動にどのような影響を与えたかである。
6 議員報酬及び期末手当に関する記載
本資料では、圓谷年雄氏が、毎月の議員報酬423,000円、期末手当228,420円を市民の血税から受けていると記載されている。
この記載は、辞職要求の理由として、刑事事件そのものだけでなく、議員報酬及び期末手当の受領が強調されていたことを示している。
この点は、本人の刑事事件、議員としての地位、報酬受領、市民感情を結び付けて、辞職を求める構成が採られていたことを示す。
7 賛同者の運動に関する記載
本資料の末尾には、賛同者の運動に同意をお願いする旨が記載されている。
この記載から、本資料が単なる意見表明文ではなく、圓谷年雄氏の議員辞職を促すための運動又は署名活動への賛同を求める性質を持っていたことが確認できる。
この点は、本件において辞職勧告決議が、議会外における辞職要求運動へと接続していたことを検証する上で重要である。
さらに、発起人代表が当時の市議会議員であったことを踏まえると、本資料は、市議会議員が関与する形で議会外の辞職要求運動が行われていたことを示す資料として位置付けられる。
この資料から生じる疑問
1 この文書はいつ作成又は配布されたのか
本資料には作成日が記載されていない。
しかし、本文中には、圓谷年雄氏が逮捕起訴されていること、須賀川市議会が2度にわたり議員辞職勧告を行ったこと、12月定例会における議会への出欠状況が記載されている。
このため、本資料は、少なくとも2011年12月定例会の経過が明らかになった後に作成又は配布されたものと考えられる。
また、本資料では辞職勧告が2度と記載されており、第3回辞職勧告決議については触れられていない。
したがって、本資料は、本文内容からみて、第2回辞職勧告決議後、第3回辞職勧告決議前の時期に作成又は配布された可能性がある。
もっとも、資料自体に作成日がない以上、正確な作成日、配布開始日、配布部数及び配布範囲の詳細は、現時点では確認できない。
2 市議会議員が発起人代表となった辞職要求文書をどう評価するのか
本資料の末尾には、発起人代表として菊地忠男氏の氏名が記載されている。
菊地忠男氏が当時の須賀川市議会議員であったことを踏まえると、本資料は、単なる市民個人又は純粋な民間団体による意見表明としてだけでは整理できない。
本資料は、須賀川市議会が2度にわたり辞職勧告決議を行ったことを前提として、圓谷年雄氏の議員辞職を促す内容となっている。
その発起人代表が市議会議員である場合、議会による辞職勧告決議と、議会外における辞職要求運動との接続は、より直接的なものとなる。
辞職勧告決議が法的拘束力を持たないとしても、それを前提に、市議会議員が発起人代表となって辞職要求文書を配布し、賛同者の運動への同意を求めた場合、本人の名誉、社会的評価、政治的地位及び議員活動に対する実質的圧力として機能し得る。
この点は、公的機関である市議会の辞職勧告決議と、市議会議員が関与する議会外の辞職要求運動が、判決前又は判決確定前後の社会的圧力をどのように形成したのかを検証する上で重要である。
3 辞職勧告決議は、議会外の辞職要求運動に接続していたのではないか
本資料は、須賀川市議会が2度にわたり辞職勧告決議を行ったことを前提として、圓谷年雄氏の議員辞職を促す内容となっている。
また、末尾には、賛同者の運動に同意を求める記載がある。
このことは、辞職勧告決議が議会内部の意思表示にとどまらず、議会外における辞職要求運動又は署名活動に接続していた可能性を示している。
辞職勧告決議が法的拘束力を持たないとしても、それが議会外の辞職要求運動の根拠として用いられた場合、本人の名誉、社会的評価、政治的地位及び議員活動に対する実質的圧力として機能し得る。
この資料は、その実質的影響を検証する上で重要である。
4 判決前又は判決確定前の社会的断罪が形成されていたのではないか
本資料は、作成時期を断定できない。
しかし、本文内容からは、第2回辞職勧告決議後、第3回辞職勧告決議前の時期に作成又は配布された可能性がある。
仮に本資料が第3回辞職勧告決議前に作成又は配布されたものである場合、2012年(平成24年)1月16日の判決前に、又は少なくとも判決確定前に、議会外においても辞職要求運動が形成されていた可能性がある。
この点は、判決前の公的有罪視、報道、議会決議、市議会議員関与の議会外運動、署名活動、社会的圧力が相互に影響し合っていたのかを検証する上で重要である。
5 「議会の総意」に従わないことが非難理由とされた点をどう評価するのか
本資料では、2度の辞職勧告決議後も、圓谷年雄氏が議会の総意を無視し続けている状態であると記載されている。
しかし、辞職勧告決議は、一般に法的拘束力を持たない意思表示と説明される。
そうであるならば、辞職勧告決議に従わないこと自体を、議会の総意を無視するものとして非難し、社会的運動の理由とすることは、どのように説明されるのか。
この点は、辞職勧告決議の形式的な非拘束性と、実際に本人に及ぼした圧力との乖離を検証する上で重要である。
6 「道義的責任」を理由とする辞職要求は、どこまで許されるのか
本資料では、刑事責任とは別に、議員としての道義的責任を免れないとして、議員辞職を促している。
議員に高い倫理性が求められること自体は否定されない。
しかし、刑事責任の確定前後において、道義的責任という評価を用いて、本人に対する辞職要求、署名運動、社会的非難を形成することは、本人の名誉、社会的評価、人格的利益、政治的地位及び議員活動に重大な影響を与え得る。
このような辞職要求が、どの時期に、どのような根拠で、どのような主体によって、どのような範囲で行われたのかを検証する必要がある。
7 報酬及び期末手当の記載は、どのような効果を持ったのか
本資料では、議員報酬423,000円及び期末手当228,420円が、市民の血税から支払われていると記載されている。
この記載は、市民感情に強く訴える性質を持つ。
本資料が、刑事事件、議会欠席、議員報酬、市民の血税という要素を結び付けて辞職要求を求めていたことは、本人に対する社会的非難を強める効果を持ち得る。
この点は、辞職要求運動が本人の社会的評価及び政治的地位に与えた影響を検証する上で重要である。
8 この資料は、第3回及び第4回辞職勧告決議とどのように接続するのか
本資料は、須賀川市議会が2度にわたり議員辞職勧告を行ったことを前提としている。
その後、2012年(平成24年)2月9日に第3回辞職勧告決議が行われ、さらに同年3月1日に第4回辞職勧告決議が行われている。
第3回辞職勧告決議では、「何度でも辞職勧告を出し続ける」との趣旨が示され、決議案本文中にも「我々は、何度でも訴え続ける」と記載されている。
第4回辞職勧告決議では、議員活動や一般質問通告も否定的に評価されている。
本資料は、第2回辞職勧告決議後、第3回及び第4回辞職勧告決議へ向かう時期において、議会外でも辞職を求める動きが存在していた可能性を示す資料であり、辞職圧力の累積を検証する上で重要である。
関連法規・条約・国際法上の基準
国内法
日本国憲法第13条:
個人の尊重、名誉、社会的評価及び人格的利益との関係が問題となる。本資料では、逮捕起訴、議員報酬、期末手当、議会欠席、議会の総意を無視しているとの評価、道義的責任を理由として、本人の議員辞職を促す内容が記載されている。このような文書が、本人の名誉、社会的評価、人格的利益及び政治的地位にどのような影響を与えたのかが問題となる。
日本国憲法第15条第1項:
公務員を選定し、罷免することは国民固有の権利である。選挙によって選ばれた議員に対し、議会による辞職勧告決議を前提として、当時の市議会議員を発起人代表とする議会外の辞職要求運動が行われたことが、住民の選挙による負託及び議員の政治的地位との関係で問題となる。
日本国憲法第21条第1項:
表現の自由との関係が問題となる。本資料自体は、発起人側の意見表明及び賛同依頼としての側面を有する。他方で、本件では、その表現活動が、須賀川市議会という公的機関による辞職勧告決議と結び付き、さらに当時の市議会議員を発起人代表とする形で行われたことが、本人の政治的地位、名誉、社会的評価及び議員活動にどのような影響を与えたのかを検討する必要がある。
日本国憲法第31条:
適正手続の保障との関係が問題となる。辞職勧告決議が法的拘束力を持たないとしても、それが市議会議員関与の議会外辞職要求運動に接続し、本人に実質的な不利益や圧力を与えた場合、どのような手続的保障が必要であったのかが問題となる。
日本国憲法第93条第2項:
地方公共団体の議会の議員が住民の直接選挙によって選ばれることとの関係が問題となる。直接選挙によって選ばれた議員に対し、議会による辞職勧告決議と、市議会議員を発起人代表とする議会外の辞職要求運動が重なった場合、地方自治における代表制との関係でどのように評価されるのかが問題となる。
日本国憲法第99条:
市議会議員その他の公務員が負う憲法尊重擁護義務との関係が問題となる。本資料は須賀川市議会名義又は須賀川市名義の公文書ではない。しかし、本資料は、須賀川市議会による2度の辞職勧告決議を前提とし、当時の市議会議員を発起人代表としている。そのため、公的機関による辞職勧告決議と、市議会議員関与の議会外辞職要求運動との接続を検討する必要がある。
地方自治法第134条:
普通地方公共団体の議会が、法律及び会議規則により、議員を懲罰することができるとする規定との関係が問題となる。法定懲罰手続によらず、辞職勧告決議及びそれに接続する社会的圧力によって、本人に実質的な辞職圧力が加えられたのかを検討する必要がある。
地方自治法第135条:
議会における懲罰の種類として、公開の議場における戒告、陳謝、一定期間の出席停止及び除名を定めている。辞職勧告決議及びそれに接続する社会的圧力が、法定懲罰手続とは別に、実質的制裁として機能したのかが問題となる。
国際人権条約 自由権規約(ICCPR)
自由権規約第14条第2項:
刑事上の罪に問われた者が、法律に基づいて有罪とされるまでは無罪と推定される権利を定める。本資料自体は、須賀川市議会又は須賀川市が作成した公文書ではない。しかし、本資料は、須賀川市議会が2度にわたり議員辞職勧告を行ったことを前提として、本人の議員辞職を促す内容となっている。また、発起人代表として記載されている菊地忠男氏が当時の須賀川市議会議員であったことを踏まえると、本資料は、単なる一般私人の文書としてだけではなく、市議会議員が関与した議会外の辞職要求運動を示す資料として位置付けられる。
本件では、第1回辞職勧告決議が、起訴前、勾留中、本人欠席の段階で行われている。また、第2回辞職勧告決議も、初公判前、判決前の段階で行われている。
そのため、本資料が第2回辞職勧告決議後、第3回辞職勧告決議前に作成又は配布されたものである場合、公的機関による判決前の辞職勧告決議が、市議会議員関与の議会外辞職要求運動、社会的非難、署名活動及び辞職圧力に接続していた可能性が問題となる。
ここで問題となるのは、民間人が意見表明をしたこと自体ではない。問題は、公的機関である市議会が判決前を含む時期に辞職勧告決議を行い、その公的意思表示が、市議会議員関与の議会外運動を通じて、社会的圧力を形成又は増幅した可能性である。
自由権規約第19条:
表現の自由との関係が問題となる。本資料自体は、発起人側の意見表明及び賛同依頼としての性質を有する。他方で、本件では、その表現活動が、公的機関である市議会の辞職勧告決議と結び付き、さらに当時の市議会議員を発起人代表として行われたことが、本人の名誉、社会的評価、政治的地位及び議員活動にどのような影響を与えたのかを検討する必要がある。
自由権規約第25条:
市民が公務に参加し、選挙され、公務に就く機会を不合理な制限なしに有する権利との関係が問題となる。選挙により議員となった者に対し、議会の辞職勧告決議を前提として、市議会議員関与の議会外辞職要求運動が行われたことが、政治参加の権利及び選挙で選ばれた議員の地位との関係でどのように評価されるのかが問題となる。
一般的意見
一般的意見32号第30項:
自由権規約委員会は、無罪推定について、すべての公的機関が裁判の結果を予断することを控えるべきであると示している。本件では、須賀川市議会という公的機関が、判決前を含む時期に辞職勧告決議を行い、その決議が、当時の市議会議員を発起人代表とする議会外の辞職要求運動において理由として用いられていた可能性がある。
この点は、公的機関による判決前の予断的意思表示が、社会的評価、報道、市議会議員関与の市民運動、署名活動及び辞職圧力にどのような影響を及ぼしたのかを検証する上で重要である。
一般的意見31号第15項及び第16項:
自由権規約上の権利侵害について、締約国には、迅速、徹底的かつ実効的な調査を行い、継続中の違反を停止し、適切な救済を確保する義務がある。本件では、辞職勧告決議及びそれに接続する社会的圧力について、後に本人が検証と是正を求めたにもかかわらず、十分な調査及び救済が行われたのかが問題となる。
条約の履行及び解釈に関する基準
条約法に関するウィーン条約(VCLT)第26条:
効力を有する条約は当事国を拘束し、誠実に履行されなければならない。日本が批准した自由権規約を誠実に履行すべき義務との関係が問題となる。
条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条:
国内法を理由として、条約上の義務を履行しないことを正当化できない。辞職勧告決議が国内法上は法的拘束力を持たない意思表示であること、議会外の市民運動であること、又は地方議会内部の問題であることを理由として、自由権規約上の無罪推定、政治参加権、表現の自由及び実効的救済との関係を検討しなくてよいことになるのかが問題となる。
※各規定の詳しい解釈、本件への適用及び相互関係については、法的主張と違憲違法構造の整理で検討する。
本件との関係
本資料は、須賀川市内において実際に配布された議員辞職要求文書であり、須賀川市議会による辞職勧告決議が、議会内部の意思表示にとどまらず、議会外における辞職要求運動、署名活動及び社会的圧力に接続していたことを確認するための資料である。
本件では、2011年(平成23年)10月26日に第1回辞職勧告決議が行われ、同年12月1日に第2回辞職勧告決議が行われている。
本資料には、須賀川市議会が2度にわたり議員辞職勧告を行ったことが記載されている。また、2011年12月定例会における議会への出欠状況も記載されている。
そのため、本資料は、少なくとも2011年12月定例会の経過が明らかになった後に作成又は配布されたものと考えられる。
また、本資料には、第3回辞職勧告決議についての記載は確認できない。
したがって、本資料は、第2回辞職勧告決議後、第3回辞職勧告決議前の時期に作成又は配布された可能性がある。
もっとも、資料自体に作成日及び配布日の記載がないため、正確な作成日、配布開始日、配布部数及び配布範囲の詳細は、現時点では確認できない。
本資料において重要なのは、辞職勧告決議が、議会外の辞職要求運動において理由として用いられている点である。
辞職勧告決議は、一般に法的拘束力を持たない意思表示であると説明される。
しかし、本資料では、2度の辞職勧告決議が「議会の総意」として扱われ、それに従わないこと自体が非難の対象とされている。
このことは、辞職勧告決議が、形式上は法的拘束力を持たないとしても、本人の名誉、社会的評価、政治的地位及び議員活動に対する社会的圧力として機能し得ることを示している。
ここで重要なのは、本資料の発起人代表として菊地忠男氏の氏名が記載されていることである。
菊地忠男氏が当時の須賀川市議会議員であったことを踏まえると、本資料は、純粋な民間文書又は一般私人による単独の意見表明としてだけでは整理できない。
本資料は、須賀川市議会が2度にわたり辞職勧告決議を行ったことを前提として、市議会議員を発起人代表とする形で、議会外において議員辞職を促す運動又は賛同依頼が行われていたことを示している。
したがって、本資料は、公的機関である須賀川市議会の辞職勧告決議が、議会外の辞職要求運動にどのように利用され、市議会議員関与の社会的圧力として機能したのかを検証する資料として位置付けられる。
自由権規約第14条第2項は、刑事上の罪に問われた者が、法律に基づいて有罪とされるまでは無罪と推定される権利を保障している。
また、自由権規約委員会の一般的意見32号第30項は、すべての公的機関が裁判の結果を予断することを控えるべきであると示している。
本件では、第1回辞職勧告決議が、起訴前、勾留中、本人欠席の段階で行われている。
第2回辞職勧告決議も、初公判前、判決前の段階で行われている。
本資料が第2回辞職勧告決議後、第3回辞職勧告決議前に作成又は配布されたものである場合、判決前又は少なくとも判決確定前の時期に、公的機関による辞職勧告決議を前提として、市議会議員関与の議会外辞職要求運動が展開されていたことになる。
この場合、問題は、民間人の意見表明そのものではない。
問題は、公的機関による判決前の予断的意思表示が、報道、市民運動、署名活動と結び付き、さらに市議会議員関与の議会外運動を通じて、本人に対する社会的断罪及び辞職圧力を形成又は増幅した可能性である。
したがって、本資料は、自由権規約第14条第2項及び一般的意見32号第30項との関係で、公的機関による判決前の予断的意思表示が、議会外の社会的圧力にどのような影響を及ぼしたのかを検証するための資料である。
また、本資料では、逮捕起訴、議員報酬、期末手当、議会欠席、議会の総意、道義的責任という要素が結び付けられ、議員辞職を促す理由とされている。
この構成は、刑事事件の存在だけでなく、議員報酬や市民の血税という表現を用いることによって、市民感情に訴え、本人に対する社会的非難を強める性質を持つ。
特に、本資料が判決前又は判決確定前に作成又は配布されたものである場合、刑事責任が確定する前後の時期において、議会決議、報道、市議会議員関与の市民運動、署名活動が相互に結び付き、本人に対する社会的断罪及び辞職圧力を形成していた可能性がある。
また、後の2012年(平成24年)2月23日には、福島民報において、「円谷市議の議員辞職を求める会」が発足し、圓谷年雄を除く市議会議員27人が参加したと報じられている。
この後続事実は、本資料に示された辞職要求が、単なる個人又は一部市民の意見表明にとどまらず、議会外の組織化された辞職要求、さらに市議会議員多数の関与を伴う社会的圧力へと展開していった可能性を示す。
したがって、本資料は、須賀川市議会による辞職勧告決議と、市議会議員関与の議会外辞職要求運動との接続を検証するための重要資料である。
本資料は、第1回及び第2回辞職勧告決議、第3回及び第4回辞職勧告決議、並びにその後の人権侵害の検証と是正を求める申入れとあわせて検討する必要がある。
本件では、議会による公的意思表示が、報道及び市議会議員関与の市民運動と結び付き、本人に対する社会的断罪、辞職圧力、名誉及び人格的利益への影響、政治的地位への圧力としてどのように機能したのかを検証する必要がある。
関連資料
関連する固定ページ:
関連する証拠記事:
須賀川市議会議会運営委員会会議録―起訴前勾留中の第1回辞職勧告決議に向けた内部協議
須賀川市議会議会運営委員会会議録―初公判前の第2回辞職勧告決議に向けた内部協議
須賀川市議会議会運営委員会会議録―判決確定後の第3回辞職勧告決議に向けた内部協議
須賀川市議会議会運営委員会会議録―判決確定後・辞職前の第4回辞職勧告決議に向けた内部協議
須賀川市議会提出文書―辞職勧告決議の検証と是正を求めた陳情書
須賀川市議会内部文書―人権侵害の是正を求める陳情書に関する会派代表者会議協議会結果報告
須賀川市内部文書―人権侵害の是正申入れ後に実施された法律相談
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関連する規範記事:
規範篇―自由権規約(ICCPR)第14条第2項:無罪推定の原則
規範篇―一般的意見32号第30項:公的機関による判決前の裁判結果の予断禁止
規範篇―一般的意見31号第15項:調査義務と救済不実施それ自体の問題
規範篇―条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条:国内制度を理由に条約義務を免れられるのか
関連する時系列:
2011年(平成23年)10月18日 本件事故が発生したとされた。
2011年(平成23年)10月19日 圓谷年雄が警察署に任意出頭した後、逮捕状に基づいて通常逮捕され勾留開始。現行犯逮捕ではなかった。
2011年(平成23年)10月24日 第1回辞職勧告決議前の議会運営委員会
2011年(平成23年)10月26日 第1回辞職勧告決議
2011年(平成23年)11月9日 起訴され、その後保釈された。
2011年(平成23年)11月28日 第2回辞職勧告決議前の議会運営委員会
2011年(平成23年)12月1日 第2回辞職勧告決議
2012年(平成24年)1月16日 有罪判決
2012年(平成24年)1月31日 判決確定
2012年(平成24年)2月7日 第3回辞職勧告決議前の議会運営委員会
2012年(平成24年)2月9日 第3回辞職勧告決議
2012年(平成24年)2月27日 第4回辞職勧告決議前の議会運営委員会
2012年(平成24年)3月1日 第4回辞職勧告決議
English version:
Document Distributed in Sukagawa City—Group Calling for the Resignation of Toshio Tsumuraya
