資料の概要
資料名:
質問状兼申入書について(回答)
文書番号:
8生環第59号
作成日:
2026年(令和8年)4月23日
作成主体:
須賀川市
発出者:
須賀川市長 大寺正晃
宛先:
圓谷年雄
対象となる質問状兼申入書:
2026年(令和8年)4月10日付で提出された質問状兼申入書
取得経路:
本人宛に送付された回答文書として取得
資料の種類:
質問状兼申入書に対する市長名の回答文書
掲載形式:
個人情報等を必要な範囲で非公開処理したPDF
原文PDF:
Skip to PDF contentこの資料で確認できる事実
本資料は、2026年(令和8年)4月10日付で須賀川市長及び須賀川市議会議長に提出された「質問状兼申入書」に対し、同月23日、須賀川市長名で発出された回答文書である。
回答書の文書番号は「8生環第59号」であり、事務担当は須賀川市生活環境課市民活動支援係と記載されている。
回答本文は、次の一文で構成されている。
令和8年4月10日付で提出のありました質問状兼申入書については、現在係争中の事件に関連する内容であるため、弁護士に一任しております。
したがって、本資料からは、須賀川市が、同年4月10日付質問状兼申入書について、現在係争中の事件に関連する内容であることを理由として、弁護士に一任していると回答したことを確認できる。
本回答の対象となった4月10日付質問状兼申入書は、一般的な質問又は任意の要望にとどまるものではない。
同文書では、一連の辞職勧告決議及びその公式記録の維持について、自由権規約(ICCPR)第14条第2項が保障する無罪推定に反するとの具体的な主張が示されていた。
その上で、自由権規約第2条第3項に基づく実効的救済として、権利侵害の調査、法的判断、決議の撤回、公式記録の削除又は訂正、名誉回復及び公的な是正措置が求められていた。
同質問状兼申入書には、5項目の質問事項及び3項目の申入事項が記載されていた。
しかし、本回答には、5項目の質問事項に対する個別の回答は記載されていない。
また、3項目の申入事項について、受け入れるのか、拒否するのか、検討を継続するのかも記載されていない。
本回答には、「現在係争中の事件」の事件名、事件番号及び裁判所は記載されていない。
もっとも、本回答の時期及びその後の関係文書からは、当時係属していた住民訴訟を指すものとみられる。
ただし、本回答には、質問状兼申入書の各事項が、その住民訴訟とどのように関連すると判断されたのかは記載されていない。
また、「弁護士に一任」した事項についても、係争事件の訴訟対応を一任したのか、法的助言を求めたのか、質問状への回答作成を一任したのか、又は人権侵害の調査、法的判断及び是正措置の要否まで一任したのか、その範囲は記載されていない。
本回答には、質問状兼申入書に示された侵害事実及び法的根拠について、須賀川市がどのような調査又は検討を行ったのかも記載されていない。
さらに、須賀川市として、人権侵害の有無、実効的救済の必要性及び市の権限内で可能な是正措置について、どのような決定を行ったのかも示されていない。
重要な記載
本資料の中心的な記載は、
現在係争中の事件に関連する内容であるため、弁護士に一任しております。
という一文である。
この記載から確認できるのは、須賀川市が、4月10日付質問状兼申入書について、係争中の事件との関連性を理由として、弁護士に一任するという対応を採ったことである。
一方、本回答は、「質問及び申入れへの回答を拒否する」と明示したものではない。
また、「人権侵害は存在しない」「質問状兼申入書に示された法的主張には理由がない」「是正措置は必要ない」との実体的判断を示したものでもない。
したがって、本回答を検証する際には、須賀川市が救済要求を法的に否定したと直ちに解釈するのではなく、回答書自体には、人権侵害の有無及び救済の要否に関する実体的判断並びにその理由が示されていないという事実を正確に確認する必要がある。
弁護士に法的助言を求め、又は係争事件の訴訟対応を委任すること自体は、公的機関が法的問題を処理する方法として否定されるものではない。
係争中の事件について不用意な回答を避け、弁護士と協議しながら対応することにも、一定の合理性があり得る。
しかし、本件質問状兼申入書で求められていたのは、係争事件における訴訟上の主張又は反論だけではない。
同文書では、無罪推定侵害とされる具体的事実及び根拠規範が示され、須賀川市に対し、従前の対応を支える法的根拠、法律相談で示された解釈を現在も維持しているのか、自由権規約第2条第3項に基づく実効的救済義務を履行したと判断しているのか、並びに市の権限内で是正措置を講じる意思があるのかが問われていた。
自由権規約第2条第3項は、申立人が求めた救済措置を常にそのまま認容することを求める規定ではない。
しかし、同項は、規約上の権利又は自由を侵害された者に効果的な救済措置を確保するとともに、救済を求める者の権利が、権限ある司法上、行政上若しくは立法上の機関又は国内法制上の他の権限ある機関によって決定されることを確保するよう求めている。
したがって、本件で問われるのは、須賀川市が申立人の求めた救済を認容したか否かだけではない。
具体的な侵害事実、根拠規範及び求める救済措置を示した申立てについて、権限ある公的機関による調査並びに権利及び救済の要否に関する実体的な決定が確保されたのかという点である。
弁護士は、市に法的助言を行い、又は訴訟代理人として係争事件に対応することができる。
しかし、弁護士への相談又は委任と、須賀川市の執行機関が、市の権限内の事務について公式の判断を行い、必要な行政上の措置を決定及び執行することとは同一ではない。
地方自治法第138条の2の2は、住民から提出されたあらゆる質問に個別具体的な回答を行う義務を直接定める規定ではない。
本件における同条の意義は、須賀川市の権限に属する事務について、執行機関自身が「自らの判断と責任」において誠実に管理及び執行する主体であることを示す点にある。
したがって、「弁護士に一任した」という事実だけでは、市の権限内の事項について、須賀川市自身がどのような調査及び決定を行ったのか、又は市として実体的判断を行わないことを決定したのかまでは明らかにならない。
また、一連の辞職勧告決議を直接撤回し、議会としての公式記録を訂正する権限は、須賀川市長ではなく、基本的に須賀川市議会側に属する問題である。
しかし、そのことによって、須賀川市自身の法律相談、行政上の対応、市としての公式見解、市が管理する記録及び市の権限内で可能な是正措置について、調査及び判断を行う必要性まで当然に消滅するものではない。
市の権限に属さない事項についても、自由権規約第2条第3項との関係では、どの機関が権限を有し、その権限ある機関による決定がどのように確保されたのかが問題となる。
公的機関側の権限配分、訴訟対応上の方針又は弁護士への委任は、調査及び回答の方法に影響を与える事情となり得る。
しかし、これらの内部事情によって、いずれの権限ある機関も侵害の有無及び救済の要否を実体的に決定しなくてよいとすれば、自由権規約第2条第3項が定める効果的救済及び権利決定の要件は、実質的な意味を失うことになる。
さらに、日本国憲法第98条第2項は、日本国が締結した条約及び確立された国際法規を誠実に遵守することを求めている。
条約法に関するウィーン条約第26条は、効力を有する条約を誠実に履行する原則を定め、同第27条は、国内法を条約不履行の正当化として援用することを認めていない。
これらの規定との関係では、国内の機関相互の権限配分、係争中であること、訴訟対応上の判断又は弁護士への一任という事情によって、自由権規約第2条第3項が求める実効的救済の仕組みそのものが機能しなくなることを正当化できるのかが問われる。
特に、4月10日付質問状兼申入書の第2の質問では、須賀川市に対し、
逮捕されているため、有罪に近い推定がなされても問題ない
との趣旨の法律相談上の解釈を、現在も市の公式見解として採用しているのかが問われていた。
しかし、本回答には、この解釈を維持しているのか、撤回したのか、又は市としての公式見解ではないのかについて記載がない。
また、第3の質問では、2025年(令和7年)の是正要求に対する「適正に処理した」とする回答が、自由権規約第2条第3項に基づく実効的救済義務を履行したものと判断されているのかが問われていた。
この点についても、本回答には具体的な回答がない。
したがって、本資料は、須賀川市が国際人権規範及び具体的な救済要求を示された後、どのような実体的判断を行ったのかを記録した文書というより、その時点で須賀川市が「係争中」及び「弁護士に一任」という処理方針を回答したことを確認するための文書として位置付けられる。
この資料から生じる疑問
1 当時係属していた住民訴訟と、質問事項及び救済要求の全体とは、どのように関連すると判断されたのか
本回答には事件名及び事件番号が記載されていないが、その時期及びその後の関係文書から、「現在係争中の事件」は、当時係属していた住民訴訟を指すものとみられる。
しかし、当該住民訴訟は財務会計上の違法を争う手続である一方、4月10日付質問状兼申入書では、無罪推定侵害、市の公式見解、従前の行政対応の法的根拠及び実効的救済の要否が問われていた。
須賀川市は、質問及び申入れの各事項が住民訴訟とどのように関連し、なぜその全体を弁護士への一任によって処理したのかを説明していない。
2 「弁護士に一任」した対象及び範囲は何か
弁護士に一任した対象が、住民訴訟の訴訟対応に限られるのか、質問状兼申入書に対する回答作成を含むのか、又は人権侵害の調査、法的評価及び是正措置の要否に関する判断まで含むのかは、本回答から確認できない。
弁護士への委任の対象及び範囲は、どのように定められていたのかが問われる。
3 須賀川市自身は、人権侵害の有無及び救済の必要性について、どのような調査及び決定を行ったのか
本回答は須賀川市長名で発出されている。
しかし、須賀川市自身が質問状兼申入書に示された侵害事実及び法的根拠について、どのような調査、検討及び判断を行ったのかは記載されていない。
弁護士から助言を受けた上で、市として一定の実体的判断を行ったのか。
それとも、弁護士への一任を理由として、市自身では実体的判断を行わないこととしたのかが問われる。
4 5項目の質問事項について、本回答によって処理を完了したと考えていたのか
4月10日付質問状兼申入書では、国際人権規範との適合性、法律相談で示された解釈、市の従前回答と実効的救済義務との関係、国家責任条文の適用及び救済を提供しないこと自体による別個の違反について質問していた。
本回答は、これらの質問について、個別の回答又は具体的な法的根拠を示していない。
須賀川市は、各質問への回答を別途行う予定であったのか、それとも、本回答によって回答を完了したと考えていたのかが問われる。
5 3項目の申入事項は、どのように処理されたのか
4月10日付質問状兼申入書では、書面による回答のほか、人権侵害及び是正の必要性を認める場合には、決議の撤回、公式記録の削除又は訂正並びに公開の場における名誉回復措置を講じるよう求めていた。
須賀川市長には、市議会の決議を直接撤回する権限がないとしても、市自身の権限に属する事項と、市議会その他の機関の権限に属する事項とを区別して処理することは可能である。
本回答には、各申入事項を受け入れるのか、拒否するのか、継続して検討するのか、又は他の権限ある機関による判断に委ねるのかが記載されていない。
6 「有罪に近い推定がなされても問題ない」とする解釈を、現在も市の公式見解として維持しているのか
4月10日付質問状兼申入書では、須賀川市が実施した法律相談において示された、
逮捕されているため、有罪に近い推定がなされても問題ない
との趣旨の解釈について、市が現在も公式見解として採用しているのかが問われていた。
逮捕は有罪認定ではなく、無罪推定は逮捕、勾留又は起訴によって消滅するものではない。
須賀川市は、この解釈を維持しているのか、撤回したのか、又は市の公式見解ではないと判断したのかが問われる。
7 弁護士への一任という対応は、執行機関自身の判断と責任にどのように接続するのか
地方自治法第138条の2の2は、普通地方公共団体の執行機関が、当該地方公共団体の事務を自らの判断と責任において誠実に管理及び執行する義務を定めている。
弁護士に相談し、又は訴訟対応を委任すること自体は、この規定に反するものではない。
しかし、弁護士への委任によって、執行機関自身の判断主体としての地位まで移転するものではない。
須賀川市は、弁護士の助言又は対応を踏まえ、市の権限内の事項について、どのような事実認定、法的評価及び公的決定を行ったのかが問われる。
8 公的機関側の内部事情によって救済判断が行われない場合、自由権規約第2条第3項の要件はどのように確保されるのか
自由権規約第2条第3項は、規約上の権利又は自由を侵害された者に効果的な救済措置を確保するとともに、救済を求める者の権利が権限ある司法上、行政上、立法上その他の機関によって決定されることを確保するよう求めている。
同項は、申立人が求めた救済を常に認容することまで求めるものではない。
しかし、少なくとも、具体的な権利侵害の主張について調査が行われ、権限ある機関によって侵害の有無及び救済の要否が決定されることを前提としている。
本回答からは、須賀川市が人権侵害の有無及び救済の必要性について実体的な決定を行ったのか、又は他の権限ある機関による決定を確保したのかを確認することができない。
係争中であること、弁護士への一任、国内における機関相互の権限配分その他の公的機関側の内部事情によって、いずれの権限ある機関も救済要求を実体的に判断しなくてよいとすれば、自由権規約第2条第3項が定める効果的救済及び権利決定の要件は、実質的に空文化することになる。
また、国内の制度、権限配分又は事務処理上の都合によって条約上の救済義務が実現されないことが許されるのであれば、条約の誠実履行を求める日本国憲法第98条第2項及び条約法に関するウィーン条約第26条との関係をどのように説明するのかが問われる。
さらに、国内法でさえ条約不履行の正当化として援用できないとする同条約第27条との関係で、国内法よりも下位にある行政上又は訴訟対応上の処理方針によって、自由権規約第2条第3項に基づく救済判断が行われないことを正当化できるのかが問われる。
関連法規・条約・国際法上の基準
国内法
日本国憲法第98条第1項
日本国憲法が国の最高法規であり、これに反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為は、その効力を有しないことを定める。
本件では、地方公共団体による事務処理及び公的回答についても、憲法及び憲法が保障する人権に適合することが求められるのかが問題となる。
日本国憲法第98条第2項
日本国が締結した条約及び確立された国際法規を誠実に遵守することを定める。
本件では、自由権規約第2条第3項及び第14条第2項に基づく義務が、国及び地方の公的機関による具体的な調査、判断及び救済措置を通じて、どのように誠実に履行されたのかが問題となる。
地方自治法第138条の2の2
普通地方公共団体の執行機関が、当該地方公共団体の事務を自らの判断と責任において、誠実に管理及び執行する義務を負うことを定める。
同条は、住民からのあらゆる質問に個別回答する義務を直接定める規定ではない。
本件では、自由権規約第2条第3項に基づく救済要求のうち、須賀川市の権限内の事務について、執行機関自身がどのような調査、判断、管理及び執行を行ったのかが問題となる。
国際人権条約 自由権規約(ICCPR)
自由権規約第2条第3項
自由権規約上の権利又は自由を侵害された者に効果的な救済措置を確保すること、救済を求める者の権利が権限ある司法上、行政上若しくは立法上の機関又は国内法制上の他の権限ある機関によって決定されること、及び認められた救済措置が権限ある機関によって執行されることを求める。
本件では、具体的な人権侵害及び救済の申立てを受けた後、権限ある機関による調査、権利の決定及び必要な救済の執行が確保されたのかが問題となる。
自由権規約第14条第2項
刑事上の罪に問われている者が、法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を保障する。
本件では、判決確定前に行われた一連の辞職勧告決議及びその公的評価について提起された無罪推定侵害の主張に対し、須賀川市がどのような調査及び法的評価を行ったのかが問題となる。
自由権規約委員会一般的意見31号4項
行政、立法及び司法を含むすべての国家機関並びに国、地域又は地方の各段階にある公的機関が、自由権規約上の義務の履行に関係することを示している。
また、国内における機関相互の権限配分又は憲法その他の国内法を理由として、自由権規約上の義務を履行しないことを正当化できないことを示している。
本件では、須賀川市が地方公共団体であること、又は問題となる決議を市議会が行ったことを理由として、自由権規約上の調査及び救済の問題から当然に離脱できるのかが問題となる。
自由権規約委員会一般的意見31号15項
自由権規約上の権利侵害の主張について、迅速、徹底的及び実効的な調査を行う必要性を示している。
また、権利侵害の主張について調査を行わないこと自体が、自由権規約の別個の違反を生じさせ得ることを示している。
本件では、須賀川市が具体的な侵害事実及び法的根拠を示した質問状兼申入書を受領した後、どのような調査を行ったのかが問題となる。
自由権規約委員会一般的意見31号16項
自由権規約第2条第3項に基づく救済義務を履行するためには、権利を侵害された者に対する適切な回復措置が必要であることを示している。
救済措置には、事情に応じて、原状回復、リハビリテーション、公的謝罪その他の満足措置、再発防止の保証及び関連する法令又は実務の変更等が含まれ得る。
本件では、公式記録の訂正、名誉回復、公的謝罪及び再発防止措置等について、須賀川市が自らの権限の範囲でどのように検討したのかが問題となる。
自由権規約委員会一般的意見32号30項
無罪推定が人権保護の基本原則であり、すべての公的機関が裁判の結果を予断することを差し控えなければならないことを示している。
本件では、判決確定前の公的有罪視を問題とする救済申立てに対し、須賀川市がどのような実体的判断を行ったのかが問題となる。
条約の履行及び解釈に関する基準
条約法に関するウィーン条約(VCLT)第26条
効力を有する条約は当事国を拘束し、当事国によって誠実に履行されなければならないことを定める。
本件では、自由権規約第2条第3項及び第14条第2項に基づく義務が、国内の公的機関による具体的な対応を通じて誠実に履行されたのかが問題となる。
条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条
当事国は、条約を履行しないことの正当化として国内法を援用することができないと定める。
本件では、地方自治制度、国内における市と市議会との権限配分、係争中であること又は弁護士への一任という事情によって、権限ある機関による調査及び救済判断が行われないことを正当化できるのかが問題となる。
国家責任条文第4条
国家機関の行為は、その機関が立法、行政、司法その他いかなる機能を行使するものであっても、国際法上、国家の行為とみなされることを示している。
また、中央政府の機関であるか、領域的単位その他の地方の機関であるかを問わず、その行為が国家に帰属することを示している。
本件では、須賀川市による事務処理及び回答が、自由権規約上の日本国の義務及び国際法上の国家責任とどのように関係するのかが問題となる。
※各規定の詳しい解釈、本件への適用及び相互関係については、法的主張と違憲違法構造の整理で検討する。
本件との関係
本人は、2025年(令和7年)4月3日、須賀川市に対し、一連の辞職勧告決議について、憲法及び自由権規約との関係を調査し、是正措置を講じるよう求めた。
その後、須賀川市及び須賀川市議会の関係者は、同月19日、申入れへの対応について法律相談を実施した。
この法律相談では、
逮捕されているため、有罪に近い推定がなされても問題ない
との趣旨の解釈が示され、市側については申入内容に基づく各種対応を行わない方針が内部文書に記録された。
2025年(令和7年)4月28日、須賀川市は、申入れについて「適正に処理した」とする趣旨の回答を行った。
しかし、その回答では、何を調査し、どの規範を適用し、人権侵害及び是正の必要性についてどのような判断を行ったのかが具体的に示されなかった。
そこで、本人は、2026年(令和8年)4月10日、須賀川市長及び須賀川市議会議長に対し、質問状兼申入書を提出した。
同質問状兼申入書では、自由権規約第14条第2項及び第2条第3項、一般的意見31号及び32号、条約法に関するウィーン条約、国家責任条文並びに日本国憲法第98条第1項及び第2項が具体的に示された。
また、5項目の質問事項及び3項目の申入事項により、従前の回答を支える法的根拠、法律相談で示された解釈を現在も維持しているのか、自由権規約第2条第3項に基づく実効的救済義務を履行したと判断しているのか、並びに決議撤回、公式記録の訂正及び名誉回復等を行う意思があるのかが問われた。
これに対して発出されたのが、本資料である。
本資料は、質問状兼申入書の内容が現在係争中の事件に関連するため、弁護士に一任していると回答した。
しかし、本資料には、5項目の質問事項に対する個別の回答、3項目の申入事項の処理結果、弁護士に一任した範囲、須賀川市自身による事実調査及び法的判断、並びに他の権限ある機関による救済判断をどのように確保したのかは記載されていない。
この回答を受け、本人は、2026年(令和8年)5月8日、須賀川市長に対し、「人権侵害救済申立て並びに法的根拠の照会及び是正措置申入書」を提出した。
同申入書では、自由権規約第2条第3項及び一般的意見31号に基づく調査・決定・救済義務と、地方自治法第138条の2の2が定める執行機関自身の判断と責任との関係が明示された。
その上で、係争中又は弁護士への一任を理由として、須賀川市自身が実体的な調査、判断及び是正を行わないことが許される具体的な法的根拠を示すよう求めた。
これに対し、須賀川市は、2026年(令和8年)5月20日、人権侵害救済申立てについては法務局が受付窓口となるとし、法的根拠の照会及び是正措置申入れについては、4月23日付回答のとおりであると回答した。
したがって、本資料は、2025年の「適正に処理した」とする回答から、2026年5月の地方自治法第138条の2の2を明示した再申入れ及びその後の回答へ進む中間段階に位置する。
また、本資料は、須賀川市が、無罪推定侵害の具体的事実、自由権規約第2条第3項に基づく実効的救済要求、日本国憲法第98条第2項及びVCLTに基づく条約の誠実履行義務を示された後、権利侵害の有無及び救済の要否に関する実体的判断を示すのではなく、「係争中」及び「弁護士に一任」と回答したことを確認するための重要な資料である。
本件で最終的に問われるのは、須賀川市が救済要求を認容したか否かだけではない。
具体的な権利侵害の事実及び根拠規範を示して実効的救済が求められたにもかかわらず、公的機関側の権限配分、訴訟対応又は弁護士への委任という事情によって、いずれの権限ある機関も侵害の有無及び救済の要否を実体的に決定しないことが許されるのかという問題である。
そのような処理が許されるのであれば、自由権規約第2条第3項が定める効果的救済、権限ある機関による権利の決定及び救済の執行という要件は、実質的に機能しないことになる。
さらに、その状態を国内制度又は公的機関側の内部事情によって正当化することが、日本国憲法第98条第2項、VCLT第26条及び同第27条が求める条約の誠実履行と両立するのかが、本資料を起点として問われている。
関連資料
関連する固定ページ:
関連する証拠記事:
2011年(平成23年)
須賀川市議会議会運営委員会会議録―起訴前勾留中の第1回辞職勧告決議に向けた内部協議
須賀川市議会議会運営委員会会議録―初公判前の第2回辞職勧告決議に向けた内部協議
2012年(平成24年)
須賀川市議会議会運営委員会会議録―判決確定後の第3回辞職勧告決議に向けた内部協議
須賀川市議会議会運営委員会会議録―判決確定後・辞職前の第4回辞職勧告決議に向けた内部協議
2025年(令和7年)
須賀川市議会提出文書―辞職勧告決議の検証と是正を求めた陳情書
須賀川市議会内部文書―人権侵害の是正を求める陳情書に関する会派代表者会議協議会結果報告
須賀川市内部文書―人権侵害の是正申入れ後に実施された法律相談
須賀川市議会内部文書―人権侵害の是正申入れ後に実施された法律相談
2026年(令和8年)
須賀川市・須賀川市議会宛文書―辞職勧告決議による人権侵害の調査、是正及び救済に関する質問状兼申入書
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須賀川市議会発出文書―「法的解釈を示す機関ではない」として弁護士に一任した回答
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須賀川市議会宛文書―一連の辞職勧告決議による違法な人権侵害の調査、再検証、是正及び再発防止措置を求める陳情書
須賀川市発出文書―人権侵害救済申立ては法務局を受付窓口とし、法的根拠の照会等には従前回答を維持した回答
須賀川市議会発出文書―人権侵害救済申立て等に対し「4月23日付回答のとおり」とした回答
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規範篇―自由権規約(ICCPR)第14条第2項:無罪推定の原則
規範篇―一般的意見32号30項:公的機関による判決前の裁判結果の予断禁止
規範篇―自由権規約(ICCPR)第2条第3項:実効的救済を受ける権利
規範篇―一般的意見31号15項:調査義務と救済不実施それ自体の問題
規範篇―条約法に関するウィーン条約(VCLT)第27条:国内制度を理由に条約義務を免れられるのか
関連する時系列:
2025年(令和7年)
2025年(令和7年)4月3日
圓谷年雄が、須賀川市に対し、辞職勧告決議により生じた人権侵害の検証及び是正を求める申入書を提出した。あわせて、須賀川市議会に対し、辞職勧告決議について独立した検証及び是正を求める陳情書を提出した。
2025年(令和7年)4月8日
須賀川市議会において、本件陳情の取扱いに関する会派代表者会協議会が開催された。
2025年(令和7年)4月19日
須賀川市側及び須賀川市議会側において、本件申入れ及び陳情への対応に関する法律相談が、それぞれ行われた。
須賀川市側の法律相談では、「逮捕されているため、有罪に近い推定がなされても問題ない」との趣旨の解釈が示された。
2025年(令和7年)4月28日
須賀川市が、本件申入れについて「適正に処理した」とする趣旨の最終回答を行った。
2026年(令和8年)
2026年(令和8年)4月10日
圓谷年雄が、須賀川市長及び須賀川市議会議長に対し、辞職勧告決議の是正及び実効的救済を求める質問状兼申入書を提出した。
同文書では、辞職勧告決議と無罪推定との関係、市及び市議会による調査及び是正の必要性並びに自由権規約第2条第3項に基づく実効的救済について、書面による回答を求めた。
2026年(令和8年)4月23日
須賀川市が、質問状兼申入書について、現在係争中の事件に関連する内容であるため、弁護士に一任していると回答した。
同日、須賀川市議会は、議会は法的解釈を示す機関ではなく、現在係争中の事件に関連する内容であるため、弁護士に一任していると回答した。
2026年(令和8年)5月8日
圓谷年雄が、須賀川市長に対し、「人権侵害救済申立て並びに法的根拠の照会及び是正措置申入書」を提出した。
同日、須賀川市議会議長に対しても、議会の権限及び責任に即した別個の「人権侵害救済申立て並びに法的根拠の照会及び是正措置申入書」を提出した。
さらに同日、須賀川市議会に対し、一連の辞職勧告決議による人権侵害について、議会の正式な手続による調査、再検証、是正及び再発防止措置を求める陳情書を、申入書とは別個に提出した。
2026年(令和8年)5月20日
須賀川市が、人権侵害救済申立てについては法務局が受付窓口になると案内し、法的根拠の照会及び是正措置申入れについては、4月23日付回答のとおりであると回答した。
同日、須賀川市議会は、5月8日付の人権侵害救済申立て並びに法的根拠の照会及び是正措置申入書について、4月23日付回答のとおりであると回答した。
須賀川市議会の同日付回答には、5月8日に別個に提出された陳情書への言及はなく、同回答だけからは、陳情書が議会内部でどのように取り扱われたのかを確認することはできない。
